トランプ米大統領は16日、ウクライナ情勢に関し、停戦ではなく「一足飛び」に和平合意を目指すべきだとの見解を自身のSNSで表明した。これは、対露圧力強化を求めるウクライナや欧州と異なる方針で、18日に予定されるゼレンスキー大統領との会談で「和平」の受け入れを迫る見通しだ。
ロシアとの会談内容と和平提案の全容
トランプ氏はプーチン露大統領との会談後、ゼレンスキー氏や北大西洋条約機構(NATO)加盟国首脳らと電話協議を実施。米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ氏はその際、ロシアが占領するウクライナ東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)全域の割譲にウクライナが応じれば、早期の和平が可能だとの考えを示した。さらに、プーチン氏からは、領土割譲と引き換えにロシアが戦闘停止し、今後ウクライナや欧州を侵攻しないと文書で約束する提案があったと説明した。
ウクライナ和平への直接合意を主張するトランプ米大統領
16日のSNS投稿で、トランプ氏は改めて「戦争を終わらせる最善の方法は、単なる停戦ではなく、一気に和平合意にいくことだ」と強調。「ゼレンスキー氏との会談がうまくいけば、プーチン氏との会談を設定する」と述べた。
ゼレンスキー大統領の反論と安全保障の議論
一方、ゼレンスキー大統領は16日、X(旧ツイッター)で「まず陸空や港湾での戦闘停止を」と反論。トランプ氏に対し対露圧力強化を求めたと強調した。
また、米露首脳会談ではウクライナが求める将来の「安全の保証」についても話し合われた模様だ。ロイター通信によると、イタリアのメローニ首相は16日の声明で、トランプ氏が米欧などの電話協議で、他国からの攻撃をNATO全体への攻撃とみなす北大西洋条約第5条に類似した集団安全保障の枠組みをウクライナ向けに設ける考えに言及したことを明らかにした。
結論:
トランプ氏の「一足飛びの和平」提案は、ウクライナや欧州各国の「対露圧力強化」路線との間に大きな隔たりがあることを示している。今後のゼレンスキー大統領との会談、そしてプーチン氏との会談で、この和平案が国際情勢にどう影響するかが注目される。
参考資料: