行方不明になっていた大阪府の小学6年の女児が栃木県小山市で保護された誘拐事件などで会員制交流サイト(SNS)を悪用した犯罪に注目が集まっていることから、県警下野署は保護者や教職員などを対象としたSNS安全教室を実施した。若年層にも普及しているSNSを利用した犯罪に対し、県警などは「大人が子供に正しい利用法を教える必要がある」としている。
大阪府の女児誘拐は、容疑者の男とのSNS上でのやりとりがきっかけとされる。県警少年課によると、昨年県内でSNSを通じた犯罪に遭った18歳未満は26人。淫行や裸の画像を送らせるなどの被害が多く、今後も増加が見込まれる。
上三川町役場で11日に行われた安全教室では、コンピュータソフトウェア著作権協会の太田輝仁さんが講演し、SNSを悪用した犯罪が起きる背景や巻き込まれないための対策を指導した。
太田さんは、安易な投稿による個人情報の流出やなりすましなど、考えられる多くの危険性について、まずは大人が学ぶ必要があると指摘。こうしたSNSについての知識を持った上で、子供に対して(1)自分のSNS上での行動によって起きる結果を予測させること(2)その場に適した利用をさせ、不安に感じたら相談させること-を徹底し、危険を回避させることが重要だと述べた。
その上で、SNS利用時に制限時間などのルールを設けること、子供にSNS以上の楽しみを作ってやることなども有効な対策として挙げた。太田さんは「SNSも最終的には人と人とのつながりの問題」と強調し、大人と子供が信頼関係を構築することが根本的な対策になるとした。
参加した少年指導員の女性(58)は「若い人がSNSを利用するときの気持ちをもっと知りたくなった。引き続き関心を持っていきたい」と話した。(根本和哉)