「大阪・関西万博」出展のSyncMOFが民事再生手続き開始、巨額協賛金が資金繰り悪化の一因に

大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」に出展中の名古屋大学発スタートアップ企業「SyncMOF」が、8月15日付で名古屋地裁から民事再生手続きの開始決定を受けました。約2億8500万円の負債を抱える同社の資金繰り悪化には、万博への1億円を超える協賛金などが大きく影響したとみられています。

SyncMOFの事業概要と万博への貢献

SyncMOFは名古屋市千種区に本社を置くスタートアップ企業で、多孔性材料「MOF」(金属有機構造体)を用いた革新的なCO2回収技術を開発しています。同社は、2025年に開催される大阪・関西万博において、「大阪ヘルスケアパビリオン」の出展企業として、その先進技術を世界にアピールする予定でした。MOFの持つ高い吸着特性は、環境問題解決に向けた有望なソリューションとして注目を集めています。

民事再生手続きの詳細と背景

帝国データバンクおよび管財人弁護士らによると、SyncMOFの民事再生手続き開始決定は8月15日に行われました。負債総額は約2億8500万円と推定されています。資金繰り悪化の主要因としては、万博出展に向けた1億円以上の協賛金や設備投資などが挙げられています。大規模イベントへの参加は企業のブランド力向上に繋がる一方で、スタートアップにとっては多大な財政的負担となるリスクが浮き彫りになりました。

大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」の外観。CO2回収技術を展示していた名古屋大学発スタートアップSyncMOFの民事再生手続き開始により、展示継続が危ぶまれている。大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」の外観。CO2回収技術を展示していた名古屋大学発スタートアップSyncMOFの民事再生手続き開始により、展示継続が危ぶまれている。

今後の事業継続と万博展示への影響

SyncMOFは今後、新たなスポンサーを募ることで事業継続を目指す意向を示しています。しかし、大阪ヘルスケアパビリオンの担当者は、SyncMOFの展示が8月19日以降も継続されるかについては現在確認中であるとしており、不透明な状況です。今回の事態は、大型イベントへの協賛が中小企業やスタートアップに与える影響、そして資金調達の重要性を改めて浮き彫りにしています。

今回の民事再生手続きは、万博を契機とした経済活性化への期待が高まる中で、出展企業、特にスタートアップの経営の厳しさを物語る事例と言えるでしょう。SyncMOFの今後の動向、そして万博での展示継続の可否が注目されます。


参考文献: