人事院は2025年度の国家公務員給与について、内閣と国会に対し大幅な引き上げ勧告を行いました。今回の勧告では、月給およびボーナスの両方が増額され、特に本省に勤務する40歳室長の年収は、初めて1000万円を超える見込みです。これは、優秀な人材の確保を目指す人事院の強い意思を示すものです。
大幅な給与引き上げの背景と詳細
厳しい人材獲得競争を背景に、人事院は民間給与との比較対象企業規模を50人以上から100人以上に引き上げました。本省の場合は、東京23区に本店を置く1000人以上の企業を対象としています。勧告内容は、国家公務員の月給を前年比3.62%増となる1万5014円引き上げるよう要請。ボーナスも年4.6カ月分から年4.65カ月分としました。3%を超える月給引き上げは34年ぶりとなり、これにより国家公務員の平均年収は714万3000円となる見込みです。
初任給についても改善が図られ、大卒の総合職と一般職で1万2000円、高卒の一般職で1万2300円と、5%以上の引き上げが推奨されています。地域手当などを含めると、本省の大卒総合職の初任給は30万1200円、年収は494万2000円に達します。
人事院のロゴマーク
管理職手当の増額と年収への影響
本省職員の手当も増額され、管理職には月5万1800円、課長補佐級に月1万円、係長級以下には月2000円が支給されます。これらの手当増額により、本省の40歳室長の年収は1089万6000円、50歳の課長では1447万3000円となる見込みです。
人材確保への期待と今後の戦略
人事院の川本裕子総裁は会見で、「給与改定が優秀な人材の確保と職員のさらなるモチベーション向上につながり、より一層高いパフォーマンスを発揮することを期待したい」と述べました。また、「選ばれる組織」となるためにはブランディングも重要であるとし、7月には34府省などで働く約130人による横断チームを発足させたことを紹介。今後、公務の魅力発信に積極的に取り組む考えを示しました。
人事院勧告の意義と波及効果
人事院勧告は、国家公務員の給与水準を民間企業のそれと均衡させることを基本に、毎年8月に実施されています。法的な拘束力はないものの、その内容は地方自治体や福祉現場の給与水準にも大きな波及効果をもたらします。
今回の勧告は、国家公務員の待遇改善と優秀な人材の確保に向けた人事院の強い意思を示すものです。公務全体の活性化と国民へのサービス向上に貢献することが期待されます。