俳優の吉沢亮(31)が主演を務める映画『国宝』(李相日監督)が、公開から77日間で興行収入110.1億円を突破する歴史的快挙を達成しました。配給元の東宝が今月22日に発表したこの数字は、邦画実写作品の歴代興行収入ランキングで「南極物語」(1983年、110.0億円)を抜き去り、堂々の第2位に浮上。第1位の「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003年、173.5億円)に次ぐ成績であり、実に22年ぶりに興収100億円を突破した邦画実写作品となりました。この記録的な成功は、日本映画界に大きな衝撃と感動を与えています。
『国宝』驚異の興行収入達成、その歴史的意義
『国宝』は、6月6日の公開以来、全国の映画館で熱い支持を集め、今月21日までに累計興行収入110.1億円を記録。これは、日本映画の歴史において特筆すべき偉業です。これまでの邦画実写作品で興行収入100億円を超えたのは、「踊る大捜査線 THE MOVIE 2」以来、実に22年ぶりとなります。長い間破られなかった記録を更新し、「南極物語」をも上回る成績を収めたことは、『国宝』が単なるヒット作に留まらず、日本映画史にその名を刻む作品となったことを物語っています。この数字は、映画業界全体に新たな希望と活力を与えるものとして注目されています。
吉沢亮主演映画『国宝』、歌舞伎の舞台で力強い演技を見せる喜久雄の姿。興行収入110億円突破の快挙を達成。
歌舞伎の世界を描く壮大な一代記
本作は、黒衣として3年間歌舞伎の世界を見つめ続けた作家・吉田修一氏の同名小説を実写映画化したものです。物語は、任侠の一門に生まれながら、歌舞伎役者の家に引き取られた主人公・喜久雄(吉沢亮)の壮絶な人生を描きます。芸の道にすべてを捧げ、やがて「国宝」と称されるまでに至る彼の道のりは、観客に深い感動と共感を呼び起こします。伝統芸能である歌舞伎の華やかさと厳しさ、そして一人の人間が自身の運命と向き合い、高みを目指す姿が丁寧に描かれ、多くの人々を魅了しました。
口コミが牽引した異例のメガヒット
映画業界関係者によると、『国宝』の成功は、その宣伝戦略においても異例でした。過去の邦画実写歴代ナンバー1である「踊る大捜査線」がフジテレビを中心とした大規模な宣伝・PR活動を展開したのに対し、『国宝』は3時間近い上映時間にもかかわらず、テレビ局からの出資がなく、公開後のメディアでのPRもほとんどありませんでした。
しかし、SNSやインターネット上での口コミを中心に、驚異的なペースで観客動員を伸ばしました。さらに、市川團十郎白猿(47)、松本幸四郎(52)、人間国宝の片岡仁左衛門(81)を父に持つ片岡孝太郎(57)といった歌舞伎界の大物たちが、公の場や自身のSNSで作品を絶賛。本職の歌舞伎俳優たちをも魅了したことが、多くの観客が劇場に足を運ぶ大きな要因となりました。これは、主演の吉沢亮が俳優人生を懸けた役作りと熱演を披露した賜物と言えるでしょう。
李相日監督が語る吉沢亮の魅力「彼しかできない」
吉沢亮の演技は、監督や共演者からも高く評価されています。17日放送のTBS系トークバラエティー番組「日曜日の初耳学」では、李相日監督が吉沢を主演に選んだ理由を明かすVTRが放送されました。
李監督は、脚本が完成する前の段階で、直感的に吉沢亮が喜久雄役に思い浮かんだと語りました。その理由について、「喜久雄という役に関しては、彼しかできる人がいない。正体不明というか、中の空洞が広い。小さく叩いたら小さく響くし、大きく叩いたら大きく響くような、空洞感。終わりが見えない、底が見えないような感じがしますよね」と熱くコメント。吉沢亮が持つ、計り知れない奥行きと表現力が、この難役を見事に演じきる上で不可欠だったことを示唆しています。監督の見立てが見事に的中し、結果として『国宝』はメガヒット作となったのです。
『国宝』の歴史的な成功は、吉沢亮の類まれなる演技力、李相日監督の確かな手腕、そして何よりも作品の持つ普遍的な魅力が、多くの観客に響いた結果と言えるでしょう。この快挙は、今後の日本映画界に新たな道を切り開くこととなるに違いありません。