「金利のある世界」の再来が日本の財政に重くのしかかっている。財務省は令和8年度予算の概算要求で、国債の元利払いに充てる国債費として過去最大の32兆3865億円を計上した。国債費が膨れる最大の要因は利払い費で、今後も増加が見込まれる。必要な政策に回せるお金が限られることで、予算の柔軟性を損なう恐れがある。
利払い費は7年度予算から24%多い13兆435億円と、こちらも過去最大の規模を見込む。長期金利の想定金利は、7年度予算の2・0%から2・6%へと、平成21年度の2・7%に次ぐ高水準に引き上げた。金利急騰に備え、高めに設定している。
長期金利の指標である新発10年債の29日終値利回りは1・600%。26日には一時、17年ぶりの高水準となる1・620%をつけた。
日銀が利上げと国債の買い入れの減額に取り組んでいることに加え、財政悪化懸念から長期金利には上昇圧力がかかりやすくなっている。
令和7年度に普通国債残高は1100兆円を超える見通しで、国が抱える借金の規模が大きくなっていることも利払い費を増えやすくしている。
SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは「国債費は当面増えやすく、徐々に政策経費を圧迫していく」と指摘している。(米沢文)