2023年に旋風を巻き起こした人気ドラマ『VIVANT』の続編制作中に、痛ましい事故が発生した。8月29日、TBSはアゼルバイジャン共和国での海外ロケ中、撮影に必要な機材運搬中に転落事故があり、現地ドライバーが死亡、同乗者が負傷したことを発表。2026年の放送が決定している大作の制作現場で起きた悲劇は、業界内外に大きな衝撃を与え、今後の制作スケジュールや作品への影響に懸念が広がっている。
ドラマVIVANTの撮影現場で真剣な表情を見せる主演の堺雅人さん
海外ロケ中に発生した痛ましい事故の全貌
TBSの発表によると、事故は8月27日にアゼルバイジャン共和国内で発生した。撮影に不可欠な衛生設備品の運搬を現地制作会社に依頼し、その配送を担っていたトラックが山間部の道路から転落。この事故で、運転していた52歳の男性ドライバーが命を落とし、同乗していた48歳の男性も腕の骨折という重傷を負った。TBSは事故を受けて、昨年から入念な下見を行い、8月27日からの撮影開始を予定していたと経緯を説明。現在は、安全確保のため撮影再開に向けたコンディションの点検を進めていると述べ、深く謝罪した。
制作延期か中止か?ファンと専門家の間で広がる懸念
この痛ましい事故の報を受け、『VIVANT』のファンからは、ソーシャルメディア(X、旧Twitter)上で悲痛な声が相次いでいる。「撮影はどうなるのか?」「これは制作延期か中止になりそう」「楽しみにしてたのに、お蔵入りになるのでは」といった、放送時期への影響を懸念する声が多数寄せられている。
芸能ジャーナリストは、今後のスケジュール調整は極めて困難を極めると指摘する。『VIVANT』は主演の堺雅人をはじめ、日本を代表するトップ俳優たちが集結する作品であり、彼らは皆多忙を極めている。そのため、物語の時系列にとらわれず、俳優のスケジュールに合わせてシーンごとに撮影を進めているという特殊な制作体制が取られている。特に主演の堺雅人は、2026年1月には既に別の映画撮影が予定されているため、大幅な撮影日程の変更は作品全体に深刻な影響を及ぼしかねないと懸念されている。豪華なキャストと壮大なスケール、そして民放ドラマとしては異例の莫大な制作費が投じられているだけに、撮影の遅延は避けられない状況だ。
ドラマVIVANTの公式Xアカウントが投稿したロケ地と思われる山間部の風景
ロケ地発覚と内容への心理的影響
前出の芸能ジャーナリストは、撮影スケジュールだけでなく、作品の内容そのものにも影響が及ぶ可能性を指摘している。続編の発表は、今年6月に堺雅人が情報番組『THE TIME,』に生出演し、サプライズで行われたものの、当時は「まだ何も決まっていない」と詳細は伏せられていた。しかし、今回の事故によって、意図せずして一部の「ロケ地」が明るみに出てしまった形だ。また、放送が開始された際に、一部の視聴者が今回の悲劇的な事故を思い起こしてしまう可能性も考慮せねばならない。国民的期待値が高い作品であるだけに、TBS局内でも大きな動揺が広がっていることは想像に難くない。
安全な撮影再開への願いと今後の動向
今回の悲劇は、海外での大規模なドラマ制作が抱えるリスクと、それに伴う安全管理の重要性を改めて浮き彫りにした。ファンからの期待が高い『VIVANT』続編が、安全を最優先し、制作が再開されることを心から願うばかりである。TBSがどのようにこの困難な状況を乗り越え、視聴者に最高品質の作品を届けることができるのか、今後の動向が注目される。