傷病や突然の退職などによって収入や資産が減少すれば、生活が困窮することがあるかもしれません。そのようなときには生活保護を頼りにすることもあるでしょう。しかし、生活保護を利用するにはさまざまな制限があります。そのうちのひとつが自家用車です。
本記事では、生活保護における車の取り扱いについて解説します。
生活保護とは
生活保護とは日本国憲法で定められている「健康で文化的な最低限度の生活」という考えに基づいた制度です。これは、単に生きるための最低限度を意味するのではなく、人としての尊厳を保ちながら暮らせる水準を保障するものです。
また、生活保護の目的は「経済的な自立」だけに限られません。厚生労働省は「三つの自立」(日常生活・社会生活・経済的)を掲げており、生活を幅広く支援する制度となっています。
生活保護受給者が車の所有を認められない理由
生活保護受給者は、原則的に車の所有が認められていません。本章では、主な理由とされる2項目について解説します。
■資産と判断されるから
車の価値はそれぞれであり、種類や状態などによって異なります。しかし、売却するとある程度のお金になります。つまり、自家用車は資産のひとつと判断されるのです。
生活保護を受けている場合、資産を売却して生活費に充てる必要があります。そのため、資産と判断される車を持っている場合は生活保護の受給が認められず、生活保護の受給中に自家用車は所有できません。
■生活保護費からローンの返済は認められない
車を購入する際によく使われるローンは、簡単にいえば借金です。生活保護費は、借金の返済に充てることができません。つまり、ローンが残っている場合はその返済ができないのです。状況次第で特別に車の所有が認められることはありますが、ローンを完済していることが前提となります。
車は資産として判断されることから所有ができませんが、ローンを返済できないことも所有が認められない理由のひとつになります。