トランプ政権、関税違法判断で最高裁上告へ – 貿易政策の堅持を主張

トランプ米政権は、世界各国・地域に発動した関税の多くを違法とする連邦高裁の判断に対し、連邦最高裁に上告する方針を明らかにしました。トランプ大統領は、この決定が自身の貿易政策を維持するために不可欠であると強く主張しています。

トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、連邦高裁の判断が維持された場合、「わが国にとって壊滅的なものになる」と述べ、最高裁に判断の見直しを求め、早期の決定を期待していることを強調しました。この上告は、トランプ政権の通商政策の根幹に関わる重要な動きと見られています。

連邦高裁の「壊滅的」判断と上告の意向

トランプ大統領は、連邦高裁の判断がそのまま適用されれば、アメリカの経済および貿易政策に深刻な打撃を与えると繰り返し指摘しています。このため、政権として連邦最高裁への上告を急ぎ、迅速な審理を求めていく方針です。大統領は、最高裁の決定が貿易政策の方向性を大きく左右すると考えており、その重要性を訴えています。

ホワイトハウスで記者団に語るトランプ大統領ホワイトハウスで記者団に語るトランプ大統領

関税違法判断の背景と法的根拠

連邦高裁は8月29日、トランプ氏が多くの貿易相手国からの輸入品に課した上乗せ関税、および合成麻薬フェンタニルの米国流入を理由にカナダ、メキシコ、中国に課した関税について、国際緊急経済権限法(IEEPA)の不当な適用があったと判断しました。これは、大統領の権限を逸脱した違法行為であるとした、米国際貿易裁判所による5月の判断を支持するものです。また連邦高裁は、関税の差し止めが訴訟当事者以外にも適用されるかについて下級審で再審理すべきだと示唆しましたが、訴訟の進行中は関税の効力は維持されるとしています。

残された合法的な関税導入手段

もし最高裁が最終的に上乗せ関税を無効と判断した場合でも、トランプ政権には限定的ながら合法的な関税導入手段が残されています。その一つは、国家安全保障上の脅威とみなされる輸入品の規制を認める通商拡大法第232条に基づき、半導体、医薬品、風力タービンなどに関税を課す方法です。また、米国企業に差別的な貿易措置を取る国・地域や、国際貿易協定における米国の権利を侵害する行為に対抗するため、通商法301条を根拠に米通商代表部(USTR)に関税賦課を指示することも可能です。これらの法的手段が、今後の貿易政策の鍵となるでしょう。

結論

トランプ政権の最高裁への上告は、アメリカの貿易政策の法的根拠と大統領の権限を巡る重要な闘いを示しています。この訴訟の結果は、今後の国際貿易関係や各国の経済に広範な影響を与える可能性があり、日本を含む世界の注目が集まっています。

参考資料

  • Bloomberg L.P. (2025). Trump to Ask Supreme Court for Expedited Ruling on Tariffs (1).
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