島根県内で発見され、記憶喪失を訴える自称「田中一」さんの身元を巡る報道が大きな注目を集めています。テレビでの呼びかけ後、インターネット上には様々な情報が寄せられ、一時は鎌倉のアパレル店のブログ写真と酷似しているとの指摘から、その店舗が公式に否定声明を出す事態にも発展しました。しかし、最新の報道では、東京都内在住の40代男性である可能性を示す有力な情報が寄せられたと報じられ、身元特定に向けた大きな進展が見られています。
突如現れた記憶喪失男性「田中一」さんの足跡
田中一さんは、2025年7月10日頃、奥出雲町内の国道314号線脇の草むらで、激しい頭痛に襲われ意識が戻ったと語っています。所持品は現金約60万円が入ったポリ袋、ブランド物のバッグ、空の財布、スマートフォンのバッテリーのみで、自身の名前や過去の記憶を一切失っていました。彼は、その後数日間安静にした後、所持金でテントなどを購入し野宿生活を送りました。
唯一記憶に残っていたのは大阪・道頓堀のグリコ看板だったため、手がかりを求めて大阪へ移動。記憶が戻らないまま、しばらくの間、飲食店で働いていたといいます。自身の身元を知りたいという強い思いから、田中さんは大阪市内のNPO法人「ぴあらいふ」の協力を得て、テレビ番組に出演し、情報提供を呼びかけました。彼は、身元確認のため、特徴的なモヒカンヘアーを維持し続けています。
記憶喪失を訴える男性のイメージ。身元不明の田中一さんの状況を想起させる写真。
SNSでの反響と憶測、そしてアパレル店の声明
テレビ放送後、「田中さんに見覚えがある」というX(旧Twitter)上の投稿が相次ぎ、「前の職場の同僚にそっくりだ」「昔一緒に仕事をしたことがある」といった書き込みが拡散しました。そのような中で、放送当日の9月2日には、鎌倉市のアパレル店「JAMES&CO.」が2009年5月19日に公開したブログ記事に掲載されていた男性が田中さんに酷似しているとの指摘がX上で浮上しました。このブログ記事は、展示会を訪れたバイヤーの写真を紹介するものでしたが、疑惑が広がったため、同店は公式サイトで「弊社スタッフではございません」と否定する声明を発表するに至りました。
都内40代男性か? 身元特定に向けた有力情報
こうした様々な情報が錯綜する中、9月3日には大阪・朝日放送(ABCテレビ)が続報を伝えました。それによると、田中さんの家族や同僚とみられる人物から、田中さんが東京都内在住の40代男性であるとする有力な情報が複数寄せられたとのことです。NPO法人「ぴあらいふ」には同日朝までに、約300件もの情報提供が集まったと報じられています。
この進展に対し、田中さんは「大きな前進になりました」と喜びのコメントを寄せたとのことです。寄せられた情報が田中さんの身元特定につながるか、今後の動向が注目されます。