新浪剛史氏、サントリーHD会長辞任の真相とCBDサプリメント問題の全貌

サントリーホールディングス(HD)の前会長であり、経済同友会の代表幹事を務める新浪剛史氏が、大麻由来成分を含むサプリメントの輸入疑惑を巡る騒動について、3日に記者会見を開き、公の場で謝罪しました。この問題は、日本のビジネス界におけるコンプライアンスと、国際的な製品規制の複雑性を浮き彫りにしています。

新浪氏は、麻薬および向精神薬取締法違反の疑いで警察から家宅捜索を受け、後にサントリーHDの会長職を辞任するに至りました。本記事では、この騒動の経緯と、大麻由来成分の合法性に関する日本の法的見解を詳細に解説します。

新浪氏、家宅捜索と辞任の経緯、潔白を主張

新浪剛史氏に対する家宅捜索は先月22日に行われ、大麻由来成分が含まれたサプリメントをアメリカから輸入した疑いが持たれていました。任意の聴取に対し、新浪氏は「薬物のようなものが送られてきた認識もあまり定かではない」と供述。捜査関係者によると、自宅からは問題の製品は発見されず、簡易尿検査も陰性でした。しかし、サントリーHDは「サプリメントに関する認識を欠いた新浪氏の行為は代表取締役会長として求められる資質を欠く」と判断し、新浪氏は会長職を辞任しました。

3日、経済同友会の定例会に姿を見せた新浪氏は、記者会見で自身の潔白を強く主張。問題となったサプリメントに関する経緯を二度に分けて説明しました。一度目は、アメリカで適法なCBDサプリメントを購入したものの、他国の厳しい規制を知り日本への持ち込みを断念。ニューヨークに住む知人Aが「帰国の際に持って行ってあげる」と申し出た後、新浪氏の自宅に郵送されたものの、家族が怪しんで破棄したと説明しました。二度目については、知人Aがさらにサプリメントを新浪氏の自宅に送るようAの弟に依頼したところ、Aの弟が逮捕されてしまったと明かしました。新浪氏は、この二度目の件に関して「手元に届いておらず、頼んでもないものだ。ゆえに私は法を犯しておらず、潔白であると思っている」と強調しました。

辞任後、経済同友会の代表幹事として記者会見に臨む新浪剛史氏の様子辞任後、経済同友会の代表幹事として記者会見に臨む新浪剛史氏の様子

大麻由来成分の法規制:THCとCBDの日本における扱い

新浪氏は、自身が購入したサプリメントがアメリカでは適法なCBD製品であると繰り返し主張しています。大麻草由来の成分には、主に「THC(テトラヒドロカンナビノール)」と「CBD(カンナビジオール)」の二種類があります。

法科学研究センターの雨宮正欣氏によると、THCは中毒作用があり、感覚が研ぎ澄まされたような効果をもたらします。また、痛みを抑える医療効果も認められ、一部の国では医療用として合法的に使用されています。アメリカでは合法ですが、日本では基準値を超えると違法となります。一方、新浪氏が購入したと主張するCBDは、リラックス作用やストレス緩和などの効果があるとされ、日米両国で合法であり、CBDを含む商品は多数流通しています。

日本の法律における大麻草由来成分(THCとCBD)の違法性の違いを示すイメージ図日本の法律における大麻草由来成分(THCとCBD)の違法性の違いを示すイメージ図

今回の新浪氏を巡る騒動は、日本と他国間における大麻関連製品の法規制の違い、特にTHCとCBDの区別に関する認識の重要性を改めて示しました。国内外での法規制の理解不足が、予期せぬ法的問題を引き起こす可能性があるため、消費者は製品の成分と各国の法律について正確な知識を持つことが求められます。


参考文献: