石破内閣の支持率上昇、自民党内で募る「野党票」への疑念

石破内閣の支持率が上昇傾向にある中、自民党内ではその実態に対する懐疑的な見方が強まっています。特に、この支持率の伸びが野党支持層による影響が大きいと分析されており、「仮に衆院選になった場合、自民党の票にはつながらない」との懸念が指摘されています。

党内から飛んだ「野党の支持だろ」のヤジ

8月2日に開催された自民党両院議員総会では、石破首相を支持する議員が内閣支持率の上昇に言及した際、会場からは「野党の支持だろ」という手厳しいヤジが飛んだと報じられました。これは、党内における多数派の認識が、内閣支持率の表面的な上昇とは異なる方向にあることを鮮明に示しています。党幹部からは、このヤジが党内の本音を代弁しているとの見方も出ています。

自民党両院議員総会に出席する石破首相。内閣支持率上昇への疑念が党内で囁かれる中、首相は静かに会議に臨む。自民党両院議員総会に出席する石破首相。内閣支持率上昇への疑念が党内で囁かれる中、首相は静かに会議に臨む。

読売世論調査が示す内閣支持率の「水増し」

読売新聞社が8月22日から24日にかけて実施した世論調査では、石破内閣の支持率が39%に達し、7月から17ポイントも急上昇しました。しかし、この上昇の背景には、立憲民主党支持層における内閣支持率の顕著な伸びがあります。7月には1割台半ばだった立憲民主党支持層の石破内閣支持率が、8月には4割台半ばにまで上昇。この結果に対し、自民党内の保守派からは「今の石破内閣の支持率は水増しだ」との批判的な声が上がっています。

自民党支持率との乖離と衆院選への警鐘

通常、自民党の政党支持率は内閣支持率と連動する傾向にありますが、8月の自民党支持率は23%に留まり、7月からの増加はわずか4ポイントに過ぎませんでした。この内閣支持率と政党支持率との間の乖離は、党内に深刻な危機感を広げています。ある党ベテラン議員は、「首相は『国民世論と党内世論のズレ』を主張するが、いざ選挙になれば、立憲民主党の支持層が自民党候補に投票することはない。内閣支持率の上昇は決して当てにならない」と、来たる衆院選への警鐘を鳴らしています。

結論

石破内閣の支持率上昇は、党外、特に野党支持層からの評価による部分が大きいとの見方が自民党内で支配的です。このため、内閣支持率の数字がそのまま衆議院選挙における自民党への投票行動に結びつくとは考えられておらず、党内では国民世論と党内世論の間に生じる「ズレ」が深刻な課題として認識されています。この状況は、次期総選挙における自民党の戦略に大きな影響を与えることとなるでしょう。


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