【ワシントンD.C. 8日 ロイター】米家庭医学会(AAFP)は8日、18歳以上の成人全員、子ども、そして妊婦を対象に、新型コロナウイルスワクチンの接種を推奨すると発表した。この新たな推奨は、国民の健康を守る上でワクチンの重要性を強調するものであり、一部の連邦機関が示す指針とは異なる見解を示している。
AAFPによる全年齢層への接種推奨の背景
AAFPは、過去に全国民が新型コロナウイルスワクチン接種の対象であった状況を踏まえ、再び広範な層への推奨を打ち出した。今回の発表は、感染症予防におけるかかりつけ医の役割を重視するAAFPの姿勢を明確にするものと言える。特に、感染リスクの高い層だけでなく、健康な子どもや妊婦を含むすべての年代に接種を促すことで、コミュニティ全体の免疫力向上を目指す意図がうかがえる。
連邦機関との見解の相違と一致点
AAFPの今回の推奨は、他の主要な米国の公衆衛生機関の指針と比較すると、複数の点で注目される。
まず、米食品医薬品局(FDA)が2週間前に承認した方針とは相違がある。FDAは、健康状態に問題がある人々と65歳以上の高齢者に限定してワクチン接種を推奨している。これは、重症化リスクの高い層に焦点を当てたアプローチと言える。
一方で、AAFPの推奨は、米小児科学会(AAP)が8月に発表した推奨内容とは一致している。AAPもまた、子どもの健康保護の観点から、広範な子どもたちへのワクチン接種の重要性を訴えていた。
さらに、今年5月にはケネディ厚生長官が、健康な子どもと妊婦への新型コロナワクチンの定期接種は推奨しない方針を表明しており、これを受けて医療団体や複数の州が独自にワクチン推奨方針を策定する動きが出ていた。AAFPの今回の発表は、このような状況下で、より積極的な予防接種の必要性を訴えるものとして注目される。
ワクチン接種の歴史的意義と公衆衛生へのコミットメント
AAFPの最高医療責任者マーゴット・サボイ氏は、「ワクチンが過去に障害や死をもたらす疾病を根絶してきたことは歴史が示している。接種を継続すればこの状況を維持できる」と述べ、ワクチン接種が公衆衛生に果たしてきた役割の大きさを強調した。AAFPは、会員医師や公衆衛生パートナーと連携し、ワクチンの信頼性を高め、接種をさらに促進していく方針を示している。これは、科学的根拠に基づいた情報提供と、地域医療における啓発活動の重要性を示唆する。
新型コロナウイルスワクチン接種を受ける人の腕の資料写真。公衆衛生の観点からワクチン接種の重要性が高まっている。
その他の推奨ワクチン:RSVとインフルエンザ
AAFPは新型コロナウイルスワクチンに加え、米疾病対策センター(CDC)の指針に沿って、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)とインフルエンザ向けのワクチン接種も推奨している。これは、季節性感染症やその他の呼吸器系疾患に対する予防接種の重要性も併せて呼びかけるものであり、包括的な感染症対策へのAAFPのコミットメントを反映している。
結論
米家庭医学会(AAFP)の今回の全年齢層に対する新型コロナウイルスワクチン接種推奨は、公衆衛生における予防接種の継続的な重要性を改めて浮き彫りにした。一部の連邦機関との見解の相違は存在するものの、AAFPは歴史的実績と専門的知見に基づき、広範な国民の健康保護を優先する姿勢を示している。この動きは、今後の米国のワクチン政策や国民の予防接種への意識に影響を与える可能性がある。
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