国民民主党の玉木雄一郎代表(56)にとって、政治の舞台は予期せぬ展開を見せた。日本維新の会が自民党との連立協議開始に合意したことで、玉木代表は緊急ライブ配信を実施。「二枚舌みたいな感じで扱われて残念だ」「三党党首会談は何だったのか。自民と組むなら最初から言ってほしかった」と、強い不満を露わにした。さらに「公党間の話なので、出し抜いたり、だましたりするのはやめるべきだ」とまで言い切り、その怒りは収まらなかった。
これに対し、維新の会の吉村洋文代表(50)は「他党を批判するよりも、自党の政策実現に注力された方がいい」と冷静に応じ、「少なくとも我々は難しい判断を、腹を決めて進めている」と反論。玉木代表のこの「二枚舌」発言は、国民民主党内部に激震を走らせ、連立の可能性を巡る党の迷走ぶりに対し、影で玉木代表を支え続ける榛葉賀津也幹事長(58)の存在に注目が集まっている。
「表の顔」玉木雄一郎と「裏の立役者」榛葉賀津也:二人の補完関係
歯に衣着せぬ発言で存在感を発揮する玉木代表の陰で、榛葉幹事長は常に党の「危機管理対応」や「まとめ役」としてその手腕を発揮してきた。長年にわたり永田町の政界を取材してきたベテラン記者は、二人の関係性を「例えるなら“表の玉木”と“裏の榛葉”という最強のコンビ」と評価する。特に榛葉氏については「筋を通す男であり、不器用に見えるかもしれないが、誰よりも情に厚い」とその人柄を高く評価。さらに「“趣味は玉木雄一郎”とまで言われるほど、玉木氏への忠誠心が並々ならぬものがある」と語り、二人の間の深い信頼関係を明かした。この補完関係が、これまでの国民民主党の安定を支えてきたと言えるだろう。
国民民主党の玉木雄一郎代表と榛葉賀津也幹事長、党の連携を巡る政治情勢の中で行動を共にする二人
玉木氏への批判と「榛葉待望論」の台頭
しかし、公明党との連携を巡る混乱が表面化すると、世間の玉木代表への評価は一気に崩れ落ちた。「党首は榛葉さんの方がいいのではないか」という声が囁かれ始め、SNSプラットフォームX(旧Twitter)では「榛葉さん」がトレンド入りする事態にまで発展した。これは、国民民主党の進路が不透明になる中で、安定と調整役を期待される榛葉幹事長への待望論が急速に高まったことを示している。国民の政治家に対する期待は、党のリーダーシップのあり方にも大きな影響を与える。
榛葉幹事長の真価:裏方としての強みと公の場での苦悩
前述のベテラン記者は、こうした「榛葉待望論」に対し警鐘を鳴らす。「榛葉さんは裏方だからこそ、真の力を発揮できる政治家です。表に出る玉木代表が攻撃を受ける盾となり、党内の調整や重要な交渉の場では、榛葉さんの剛腕で話をまとめてきた。彼が代表の座についてしまうと、その絶妙なバランスが崩れてしまうのではないか」と述べ、榛葉幹事長の真価が「裏方」にあることを強調した。
しかし、その絶妙なバランスに危機感を覚えるシーンが公の場で露呈することもあった。玉木代表が公明党との連立強化について記者会見を行った際、その隣で榛葉幹事長は終始、渋い表情のまま硬直していた。会見が終わるやいなや、玉木代表に「ちょっと」と声をかけ、足早にその場を後にした姿は、多くの国民の目に留まった。この様子を見た人々からは、「榛葉さん、怒っている…」「榛葉さん、そこにいたのに、なぜ…」「榛葉さんは玉木代表を止められなかったのか」「榛葉さんはそれでいいのか」といった、玉木代表の「暴走」を制御できなかった幹事長に対する失望の声が多数上がった。
揺れる国民民主党の行方
防衛副大臣や外務副大臣を歴任し、政策通のベテランであることは間違いない榛葉幹事長。国民民主党が直面する連立問題と党内調整の難しさの中で、彼がこれまで通り玉木代表を支え続ける「裏方」に徹するのか、それとも「玉木雄一郎という趣味」をやめるのか。その選択は、揺れ動く国民民主党の将来、そして日本の政治情勢の鍵を握っていると言えるだろう。党の安定と方向性を決める重要な局面において、「裏の顔」と称される榛葉幹事長の動向が注目される。