先週、防衛相に就任したばかりの小泉進次郎氏が、早くも異例の「初仕事」に直面している。全国で深刻化するクマの被害を受け、秋田県への自衛隊派遣が決定。今年度はクマによる死者数が過去最多の10人(10月28日時点)に達するなど、緊急を要するこの問題に、同氏の手腕が問われる。かつて「コメ担当大臣」として成果を上げた進次郎氏だが、今回の「クマ担当大臣」としての役割は、彼の政治的立ち位置と今後のキャリアに大きな影響を与える可能性を秘めている。
小泉進次郎防衛相の初仕事として注目されるクマ対策への対応
2023年に北海道で駆除された巨大なヒグマ「OSO18」の姿
防衛政策の主導権は高市首相に? 進次郎防衛相の関与は限定的か
小泉氏が防衛相に就任したのは、将来の首相を見据え、安全保障分野の経験を積むためと見られる。しかし、防衛費増額や安全保障3文書改定といった重要課題への深い関与が期待される中、永田町では「高市首相が官邸主導で防衛政策を進める意図が強く、小泉氏の意思決定への関与は限定的になる」との見方が浮上している。全国紙政治部記者は、高市首相が外交や安保の総合調整を担う国家安全保障局長に市川恵一氏を起用したことをその証拠として挙げている。
地元横須賀でのトランプ氏歓迎、失われた「晴れ舞台」
総裁選で高市氏にまさかの逆転を許した小泉氏には、防衛相としての職務以外にも「失われた機会」があった。自民党関係者は、「本当なら今頃、地元でトランプ大統領との晴れ舞台のはずだった」と進次郎氏の心境を推測する。
実際、進次郎防衛相は10月29日、来日した米国のヘグセス国防長官と会談し、防衛費のGDP比2%達成時期の前倒しや安保3文書改定による防衛力強化の方針を伝達した。しかし、その前日の28日、高市首相がトランプ大統領と共に米海軍横須賀基地を訪問。原子力空母「ジョージ・ワシントン」上で数千人の兵士を前に、トランプ大統領は高市首相を「勝者で日本初の女性総理だ」と称賛し、この模様は繰り返し報じられた。
関係者によると、外務省は高市氏が首相になる前からトランプ大統領の訪問先を調整しており、「横須賀を選挙区とする進次郎首相が、地元でトランプ大統領と親密さをアピールする」場面を想定していたという。進次郎氏も「もし首相だったら、今頃地元横須賀でトランプ大統領の隣にいたはず」と内心感じている可能性は高い。
小泉進次郎防衛相は、緊急の「クマ対策」と、防衛政策における高市首相との主導権争いという二重の課題に直面している。彼の初陣が単なる動物対策に留まらず、将来の政治家としての手腕とリーダーシップを示す試金石となるか、今後の動向が注目される。





