千葉県内で日本語を学んでいたネパール国籍のチャンタール・バダルさん(21)が、交際相手の日本人女性に刺殺された事件は、日本社会に大きな衝撃を与えています。来日したばかりの若者が無残にも命を奪われたこの悲劇は、彼の家族に深い悲しみをもたらし、日本をこよなく愛していたバダルさんの無念さが伝わってきます。千葉県警は今月28日、千葉市稲毛区に住むアルバイトの浅香真美容疑者(32)を殺人容疑で再逮捕し、事件の全容解明に向けて捜査を続けています。
日本での夢を抱いた青年の悲劇:兄の証言
「日本をこよなく愛していた弟が、大好きな日本人に殺されてしまうなんて、今でもまだ信じられません」。そう絞り出すような言葉で語り始めたのは、亡くなったバダルさんの兄です。兄とバダルさんが暮らしていた千葉県内にあるアパートの一室には、日本のアニメをこよなく愛していたバダルさんの趣味が色濃く反映されていました。『ワンピース』や『鬼滅の刃』といった人気作品のポスターが壁一面に飾られ、彼の日本での充実した生活と夢が垣間見えます。しかし、そんな愛する弟の訃報が兄にもたらされたのは、事件発生から間もない今月5日のことでした。
日本での生活を夢見て日本語の勉強に励んでいたチャンタール・バダルさん(21)
千葉県船橋市で発生した殺害事件の詳細
千葉県警の発表によると、事件は今月5日の午前4時35分から8時15分ごろまでの間に、船橋市内のホテルで発生しました。浅香真美容疑者は、交際相手だったネパール国籍のチャンタール・バダルさんの胸などを包丁で複数回刺し、殺害した疑いが持たれています。
事件は午前8時5分ごろ、浅香容疑者自身が119番に通報し、「バダルさんが自分でナイフで刺した」と消防に伝えたことで発覚しました。救急隊が現場に駆けつけた際、バダルさんは血だらけの状態でうつぶせに倒れており、その場で死亡が確認されました。警察の調べでは、バダルさんの左胸には深さ約16センチにも及ぶ刺し傷があり、心臓と肝臓を貫通していたといいます。遺体の損傷は激しく、現場に残された痕跡などから、千葉県警は当初から殺人事件として慎重に捜査を進めてきました。
容疑者の逮捕と供述の状況
浅香真美容疑者は、通報したその日のうちに、事件で凶器となった包丁をその2日前に万引きしたとして窃盗容疑で逮捕されていました。窃盗容疑については認めているものの、今回の殺人容疑については当初「間違いです」と否認し、その後は一切の供述を拒否し黙秘に転じていると報じられています。動機や事件に至る経緯など、不明な点が多く残されており、今後の捜査の進展が注目されます。
来日したばかりの未来ある若者
チャンタール・バダルさんは、ネパールの景勝地として知られる山岳リゾート・ポカラにある観光を専門的に学ぶ学校を卒業していました。そして、2024年4月に日本での生活と夢を抱いて来日。日本語学校に通いながらアルバイトをこなし、充実した日々を送っていたと見られます。SNSの投稿からは、端正な顔立ちに似合う黒のロングヘアーをなびかせ、日本での新しい生活を謳歌しているかのような様子が垣間見えていました。彼の突然の死は、多くの人々に悲しみと疑問を残しています。
結び
日本を深く愛し、未来に希望を抱いていたネパール人青年が、このような形で命を奪われたことは痛ましい限りです。事件の真相究明とともに、再発防止に向けた社会全体の取り組みが求められます。警察当局には、公平かつ徹底した捜査を通じ、速やかな全容解明と公正な裁きが下されることを期待します。





