河野太郎氏、「ガソリン暫定税率廃止」で物議発言「フェラーリやポルシェは対象外」にSNS炎上

10月31日、与野党6党の協議により、12月31日付でのガソリン暫定税率廃止が決定しました。この決定は、物価高に苦しむ国民から歓迎の声が上がる一方で、11月2日放送の『サンデージャポン』(TBS系)での河野太郎衆院議員(62)の発言が波紋を呼んでいます。国民の生活に直結する政策変更と、その背景にある政治家の見解が、改めて世論の注目を集めています。

長年の課題、ガソリン暫定税率廃止の背景と国民の期待

近年、原油価格の高騰は、運送業をはじめとする多岐にわたる業界に深刻な影響を与え、ガソリン代高騰は家計を圧迫してきました。これを受け、ガソリン暫定税率の廃止を求める声がかつてないほど高まり、政治の場で議論が活発化。昨年12月には自民、公明、国民民主の3党間で廃止が合意され、高市早苗氏(64)が自民党総裁選で廃止を公約に掲げて首相に就任したことで、ついに実現の運びとなりました。

この暫定税率廃止により、ガソリン代は現在より1リットルあたり約15円安くなる見込みで、多くの国民にとって大きな助けとなるでしょう。しかし、一方で、廃止によって年間約1.5兆円の税収が失われることになり、その穴埋めとなる財源についての議論は先送りされており、今後の重要な課題として残されています。

河野太郎氏の「フェラーリ・ポルシェ」発言とその真意

11月2日の『サンデージャポン』では、河野太郎衆院議員と安野貴博参院議員(34)がゲストとして招かれ、発足したばかりの高市内閣の外交政策や物価高対策について議論が交わされました。

暫定税率廃止の話題に移ると、安野氏は6党合意について「まとまらないんじゃないかという声もあったが、しっかりと合意できたことは素晴らしいこと」と評価しました。これに対し、評価を求められた河野氏は、廃止に対して「ずっと石破内閣の頃から反対だった」と自身の持論を述べた上で、反対理由として環境問題を挙げました。「今年の夏、日本でも42度になるという温暖化が進んでいる時に、化石燃料を普通に使っていいんだよというメッセージになってしまうのは非常にまずい」とコメントし、環境への配慮の必要性を強調しました。

続けて河野氏は、「本当に困っている人には、ガソリンだったり電気だったりの支援をするけども、何もフェラーリやポルシェに入れるガソリンを下げる必要はないんじゃないの」と発言。さらに、「燃費のいい車に買い替える、EV(電気自動車)に買い替えるときに補助を出しますよ、という風にお金を使ったほうが先行き、ガソリンの消費量が減るわけですから。またガソリンの値段があがっても影響は少なくなる」と、暫定税率廃止には終始懐疑的なスタンスを示しました。

ガソリン暫定税率廃止巡る発言で批判が集まる河野太郎衆院議員。ガソリン暫定税率廃止巡る発言で批判が集まる河野太郎衆院議員。

世論の反発と「庶民感覚との乖離」への批判

河野氏の「フェラーリやポルシェのガソリンを値下げする必要はない」という発言は、SNSプラットフォーム「X」(旧Twitter)上で即座に大きな反感の声が相次ぎました。

  • 「庶民を舐めとるのか」
  • 「何を言ってるのか分かりません。地球温暖化とか関係ありませんよ。それと『減収するから代わりの財源を』っていい加減そういう議論はやめようぜ。国民をバカだと思ってる?」
  • 「電車で移動できる地域の人にはわからんでしょうねえ。趣味で所有しているわけじゃないんですよ。公共交通機関が脆弱だから税金含め維持費払って所有している。車で通勤できないと職業選択が狭まるし、徒歩や自転車でいける範囲に求人はない。真冬の北海道で毎日タクシー通勤か徒歩で通勤してみて」

といった批判的な意見が多数投稿され、この記事を取り上げたYahoo!ニュースの記事のコメント欄には1万件以上のコメントがつくなど、炎上状態となりました。

全国紙の政治部記者によると、ガソリン代高騰が運送コストを押し上げ、食料品をはじめとする物価高を加速させた背景があります。また、公共交通機関が充実している都市部の人々には想像しにくいかもしれませんが、地方においては自動車やバイクが「生活の足」として必要不可欠であり、ガソリン代の高騰は家計に深刻なダメージを与えます。

河野氏としては、フェラーリやポルシェといった高級車を所有する高所得者層のガソリン代まで値下げする必要はないという意図があったのかもしれません。しかし、そうした層の人数は限られており、暫定税率を廃止してガソリン代を値下げすることは、大多数の国民の家計を助けることにつながります。河野氏自身も、ガソリン代対策ではなく、根本的な物価高に困っている人々への支援に取り組むべきと発言しており、物価高をどうにかしたいという思いは確かでしょう。しかし、今回の発言は、その意図が伝わりにくく、たとえが極端すぎたために国民の反感を招いてしまったのではないでしょうか。

結論

ガソリン暫定税率の廃止は、長年の議論の末に実現した物価高対策の一環であり、多くの国民に安堵をもたらす重要な政治決定です。しかし、その過程で、河野太郎衆院議員の「フェラーリやポルシェ」に関する発言が、環境問題への配慮と国民の生活実感との乖離を浮き彫りにし、大きな議論を巻き起こしました。

この一件は、政策立案におけるバランスの重要性、そして政治家が国民の多様な生活実態を理解し、共感に基づいたメッセージを発信することの難しさを示しています。今後、失われる税収の財源問題解決と共に、環境保護と国民の生活支援を両立させるための、より細やかな政策議論と国民との対話が求められます。


参照元:
Yahoo!ニュース