高市早苗政権の経済対策、財務省の「面従腹背」で窮地か?補正予算編成の舞台裏

世論調査で69%という高い支持率を誇る高市早苗内閣が、現在、水面下で経済対策を巡る深刻な危機に直面しています。その背景には、政権が最優先課題とする総合経済対策の策定において、財務省が強力な抵抗を見せ、高市首相の掲げる「責任ある積極財政」の実現を阻んでいる実態があります。本稿では、ジャーナリスト須田慎一郎氏の取材に基づき、補正予算編成の舞台裏で繰り広げられる財務省の動きと、それが高市政権に及ぼす影響について詳しく解説します。

総合経済対策と2025年度補正予算の現状

高市内閣は、物価高騰への対応、成長投資・危機管理投資、さらには安全保障を含む広範な経済政策パッケージとして「総合経済対策」の策定を進めています。この対策を財政的に裏付けるのが、2025年度補正予算です。高市首相は積極的な財政出動を目指していますが、予算編成に強い権限を持つ財務省が、政権の意向に沿わないよう画策していることが明らかになっています。これはまさに、表面上は協力する姿勢を見せながら、裏では異なる思惑で動く「面従腹背」の様相を呈しています。

財務省による「面従腹背」の実態

須田氏の取材によれば、財務省は各省庁、特に予算編成の窓口である会計課の担当官を呼び出し、「要求するな」「要求しても通らない」といった圧力や恫喝を行っているとのことです。この動きは大手メディアでは報じられていないものの、複数の省庁で確認されています。具体的には、高市政権の看板政策であるAI革新・科学技術投資、中小企業成長投資、供給能力強化、さらには日本維新の会が強く提唱する生産性改革や地方経済の成長といった重要政策に関する予算要求が、認められなかったり、大幅な減額査定を受けたり、最悪の場合は「ゼロ査定」となるケースが頻発しています。これにより、各省庁の上層部には諦めムードが漂う一方で、中堅・若手職員の間では強い憤りが広がっている状況です。

石破政権と変わらぬ「緊縮予算」の懸念

昨年度の石破政権下での補正予算は歳出規模で13兆9000億円でしたが、現時点での今回の補正予算案は、前年度と比較してわずか1000億円程度、あるいは数百億円程度の上積みにとどまる見込みであり、財務省はこの規模で押し通そうとしています。このような状況が続けば、日本維新の会から「高市政権は一体何をしているのか」との批判が高まり、連立政権に亀裂が生じる可能性も否定できません。また、補正予算案が公表された際には、国民からも「石破政権時代と同じ規模ではないか」「内容も変わらないのではないか」といった失望の声が上がるでしょう。高市政権への期待が大きいだけに、その反動も大きくなる恐れがあります。

国会議事堂で参議院予算委員会に出席する高市早苗首相国会議事堂で参議院予算委員会に出席する高市早苗首相

政治主導による予算上積みへの期待

しかしながら、この補正予算案はまだ確定したものではありません。今後、政治主導によってどこまで予算を上積みできるかが、高市政権の真価が問われる段階となります。高市首相が掲げる「責任ある積極財政」を本当に実現できるか、そして国民の期待に応える経済対策を打ち出せるか、その成否は、財務省の抵抗をいかに乗り越え、強力なリーダーシップを発揮できるかにかかっています。今後の予算編成の行方が注目されます。

参考文献