仏、年金改革への大規模な抗議運動 マクロン大統領に最大の試練

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 【パリ=三井美奈】フランスで17日、政府の年金改革への抗議デモが行われ、全国で約61万5千人が参加した。マクロン大統領は年金改革を「将来の世代のために必要だ」と訴えるが、労働組合は5日から大規模ストとデモを続けて撤回を要求。大統領は2017年の就任以来、最大の試練に直面している。

 デモは労組が呼びかけたもので、今回が3度目。鉄道員や教員らが加わった。国鉄や地下鉄の運休で連日、通勤ラッシュ時の主要駅は大混乱。無期限ストで、年末の帰省客への影響が懸念されている。

 マクロン氏は39歳で大統領選に当選し、年金財政の健全化は選挙の公約だった。今月発表された改革案は、職種ごとに42ある年金制度を一本化し、官民とも労働に応じたポイント制で年金受給額を決める内容。さらに、現在は年金受給開始年齢の62歳を「基準年齢」に変え、これ以上働けば受給額を増やす仕組みにする。基準年齢は2027年に64歳まで引き上げ、高齢者の就労を促す。

 政府は「転職や起業など、人生設計に応じて受給額が算出しやすくなる。現行よりも公平な制度だ」と主張。これに対し、労組は「事実上の定年廃止につながる」と反発する。鉄道労組などでは、特権喪失につながることへの警戒も強い。19世紀以来の伝統で、過酷な労働を伴う鉄道員や警察官には50代で早期退職できる優遇制度が認められてきたからだ。

 フランスでは1995年、シラク政権の年金改革案が3週間のゼネストで挫折に追い込まれ、以後は小ぶりの制度見直しにとどまった。年金受給開始年齢でドイツは67歳、英国は68歳への引き上げを決めたのに対し、フランスは高齢化対応が遅れた。年金への公的支出は国内総生産(GDP)の14%。欧州連合(EU)でギリシャやイタリアに次いで負担が大きい。

 フィリップ仏首相は「国民に、もっと長く働いてもらう仕組みが必要だ」と訴えるが、国民には労組側への共感が強く、仏紙の世論調査ではデモやストを「支持する」「共感を覚える」とした人が54%に上った。

 マクロン政権は昨年、燃料税引き上げ計画を機に「黄色いベスト」の反政府デモに直面。パリ中心部で放火や略奪が相次ぐ騒ぎになり、増税撤回に加え、庶民支援の予算措置を迫られた。再びデモに対して妥協すれば、「改革」を旗印とした政権の信頼が大きく揺らぐことになりかねない。

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