六代目山口組・司組長の「笑み」:住吉会との会合が示すヤクザ社会の「平和共存」戦略

年の瀬が迫る12月上旬、愛知県豊橋市の閑静な住宅街に緊張が走りました。六代目山口組の直系組織である十一代目平井一家の本部周辺では、早朝から地元の愛知県警や警視庁の捜査員十数人が厳重な警備・警戒を続けていたのです。この緊迫した雰囲気の中、日本のヤクザ社会における重要な「外交」が行われました。

緊迫の「時候の挨拶」:愛知・平井一家本部を巡る動き

この日、関東の巨大組織・住吉会が小川修司会長以下、最高幹部を伴い、六代目山口組へ「時候の挨拶」に訪れました。これは全国の親戚・友好団体が年に二度、夏とこの時期に行う恒例の行事です。12月1日には、関東の親戚・友好団体である稲川会、松葉会、双愛会のトップ(一部代理)が静岡市の六代目山口組直系組織で挨拶を済ませており、翌2日には西日本地区の親戚・友好5団体のトップも愛知県瀬戸市の直系組織を訪問していました。

住吉会・小川会長と会合する六代目山口組・司組長住吉会・小川会長と会合する六代目山口組・司組長

正午前、平井一家本部の正門シャッターが開き、「いらっしゃいました!」という幹部組員の声に迎えられ、3台の車列が到着しました。その中央のベンツから、小川会長ら住吉会一行を出迎えるため、司忍組長が降り立ったのです。

司組長と小川会長の顔合わせ:異例の背景

約30分後の午後12時半には、小川会長らを乗せた車列が到着し、シャッターはすぐに閉じられました。内部の様子は確認できませんでしたが、およそ10数分後にシャッターが開くと、温和な表情で談笑し、一行を見送る司組長の姿がありました。ヤクザ業界に精通するジャーナリストによると、住吉会は六代目山口組と親戚関係にはないものの、先代会長と司組長(83)の個人的な関係が深かったことから、現在も友好的な付き合いが継続していると見られています。

「平和共存」への道:六代目山口組の外交戦略

司組長は、1日の関東の親戚・友好団体の挨拶の際にも姿を見せ、終始上機嫌で笑みをこぼしていたと報じられています。ヤクザ社会の「平和共存」を推進する六代目山口組にとって、年二回の親戚・友好団体の訪問は、その理念を象徴する重要な行事です。分裂抗争に対して「終結宣言」を出した今年は、六代目山口組にとってまさに「節目の年」であり、他団体との外交戦略は今後さらにその重みを増していくと考えられます。

司組長が連日見せた満面の笑みからは、今回の外交が円滑に進んだことへの充実感が強く感じられました。この表情は、今後のヤクザ社会における組織間の関係性、特に六代目山口組が目指す「平和共存」の方向性を示唆しているのかもしれません。