◇社会学的皇室ウォッチング!/177
雅子さまの誕生日(12月9日)に発表された医師団による例年の見解。最後の文章は、「引き続き温かくお見守りいただきますよう」とのお願いで結ばれる。この国の多くの人たちは、この言葉どおり、長い目で雅子さまを見守っているだろう。「令和のニッポン」には雅子さまと同じように、苦しんでいる人がいる。雅子さまには、ゆっくり治療に取り組んでいただきたい。(一部敬称略)
2025年の見解にも例年同様、「皇后陛下には、御快復の途上にあり、依然として御体調には波がおありです」との表現があり、報道はどうしてもそこに注目してしまう。雅子さまが、埼玉県秩父地方で開催された5月の全国植樹祭に出席できなかったことを、ことさら意地悪に振り返る記事もあった。しかし、雅子さまは、そんなことは気にしなくていいと思う。
個人的な話だが、私の周囲の職場でも、学校でも、メンタルのバランスを崩してしまう人を見かけることがある。休職、休学する人に「早く戻ってこれるといいね」と声をかけそうになる。しかし、ぐっとこらえて、「ひとりじゃないよ」「いつでも話、聞くね」ぐらいにして、なるべくストレスにならないような接し方を心がけている。
厚生労働省が8月7日に発表した「労働安全衛生調査(実態調査)」(24年、調査対象1万8533人)によれば、「メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者」は、調査対象者の0・5%にのぼる。1000人の会社であれば、平均5人が、1カ月以上会社を休むほど心を病んでしまう。休むことによって心が軽くなればいいのだが、実際は休むことが罪悪感になり、また、戻ってもストレス要因が取り除かれていないことが気になり、良くならないケースも少なくない。
上司や人事部署の理解も足りない。「休むのは、その人に問題があるためだ」「職場に、穴を開けるとはどういうことだ」と言わんばかりに接する人を見てきた。この国が誰にでも優しい職場であふれれば、もっと優しい国になるはずだと思うのだが、なかなかうまくいかない。






