【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は29日、朝鮮労働党中央委員会総会が28日、平壌で招集され、金正恩(キム・ジョンウン)党委員長が国家事業全般について報告を行ったと報じた。「過酷な試練を克服し、党や国家、国防建設で提起される重大な問題を討議するため」に開かれたとしている。
会議は続くとし、具体的な決定は明らかになっていないが、非核化などをめぐる米朝交渉が滞り、金氏が交渉期限とした年末が迫る中、対米方針を含む新たな路線が打ち出されるかが注目されている。
会議では「内外の情勢の要求に即して国家の戦略的地位と国力を一層強化」するための方策が提示されるとしている。
党の重要な方針を討議・決定する中央委総会の開催は今年4月以来。昨年6月の初の米朝首脳会談を前に、昨年4月に開かれた総会では、経済建設に集中する路線への転換とともに、大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射と核実験の中止を決めた。トランプ米大統領が米朝対話の成果とみるこの方針を維持するかが焦点となっている。
総会に先立ち、22日に開催が報じられた党中央軍事委員会拡大会議では、金氏出席の下、自衛的国防力の発展について討議された。総会でも国際社会の制裁が続く中、経済建設を続ける自力更生路線とともに、新型ミサイルの相次ぐ発射に象徴される自衛的国防力の強化方針が打ち出される可能性がある。