【新春直球緩球】日商・三村会頭 中小企業の8割「価格転嫁できぬ」





インタビューに応じる日本商工会議所の三村明夫会頭=東京都千代田区(三尾郁恵撮影)

 --3期目の課題に大企業と中小企業の共存共栄を掲げた

 「中小企業は日本の雇用の約7割、付加価値額の約5割を占め、経済の基盤だ。また、大企業も供給網(サプライチェーン)の一角を構成する中小企業の生産性向上やIT化を進めないと本当の競争力強化につながらない。多くの中小企業は大企業との取引で弱い立場にある。物価が上がらない中、日本商工会議所の調査では中小企業の約8割が価格転嫁できていない。経済産業省の有識者会議で、共存共栄に向け、取引価格の適正化をはじめ建設的な議論を進めたい」

 --後継者不足による廃業を防ぐには

 「経営者の高齢化が進み、事業承継の対応は待ったなしだ。金融機関が融資する際に経営者保証(経営者による個人保証)を求める慣行を減らすべきだ。家族に引き継ぐだけではなく、M&A(企業の合併・買収)や第三者への事業承継をもっと支援したい。中小企業は最低賃金の引き上げに加え、人材確保に向けた賃金上昇、働き方改革などコストがどんどん積み重なっていることが問題だ」

 --米中貿易摩擦や世界景気の行く方は

 「米中は『第1段階の合意』に達し、今秋の米大統領選もあり、双方とも最悪の事態は望んでいないはずだ。中国からベトナムなどへの生産拠点シフトでアジアが経済成長の恩恵を受けるなど思ったよりも世界経済全体への影響は少ない。若干の停滞に落ち着くのではないか」



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