【香港=藤本欣也】中国の湖北省武漢市で原因不明のウイルス性肺炎の発症が相次いでいる問題は、香港でも連日、大きく報じられている。2003年に中国が感染源の新型肺炎(SARS)が流行した際、香港でも1750人が感染、299人が死亡する大きな痛手を受けているためだ。
香港では半年以上にわたり政府などへの抗議活動が続いているが、肺炎の感染拡大が続けば、多人数が集まる集会やデモの行方にも影響を及ぼしかねない。
香港政府は4日、武漢での原因不明のウイルス性肺炎の発症を受け、感染症への警戒レベルを1段階引き上げて「厳重」にした。
現在、香港国際空港や、中国の高速鉄道が乗り入れる西九竜駅で、利用客の異常体温を検知する機器と人員を増やすなど、水際の検疫態勢を強化している。
政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は3日、西九竜駅の検疫状況を視察、「政府は(水際で防止するための)必要な政策をとっている」と強調し、香港市民に冷静になるよう求めた。
また、最近、武漢を訪れた市民らのうち発熱などを訴えた8人を病院に隔離した。すでに5人は退院し、残る3人も症状は安定しているという。