トモニホールディングス(HD)傘下の旧徳島銀行と旧大正銀行が合併し、1日に「徳島大正銀行」(本店・徳島市)が誕生した。多くの地銀が割拠する関西で新銀行はどう存在感を示すのか。徳島大正銀行の吉岡宏美頭取と、トモニHDの中村武社長に今後の戦略を聞いた。
トモニHDは他に香川銀行を傘下に置くが、拠点の四国は人口減少に歯止めがかからず、関西を「戦略的エリア」に位置付ける。中村社長は「経済規模は大阪市だけで四国全体を上回る。大正銀行との統合で兵庫県、京都府を含めた関西での支店網が充実することから、四国の顧客から期待が大きい」と話す。
吉岡頭取は「これから2025年大阪・関西万博に向けた動きも出てくるはずだ」と期待を込め、四国と関西の顧客を結びつけるビジネスマッチングや商談会を活発化する方針を明らかにした。
旧徳島銀行はこれまでも関西企業に徳島県内への工場進出を提案し続けてきた。廃業した工場跡地の活用などで成約したケースも複数あるという。徳島銀行出身の吉岡頭取は「東京、大阪だけでなく四国の情報がそろう銀行は多くない」と自信をみせる。
関西の各地銀が相次いで支店網を縮小するなか、吉岡頭取は「収益のために顧客の利便性を犠牲にしない」と強調。「新しい銀行による新しい営業や商品に魅力を感じてもらえる」と京都などへのさらなる進出に意欲を示した。
また、トモニHDは「地域商社的金融グループ」を目標に掲げ、創業支援などを手掛けるファンドを昨年9月に設立。中村社長は「従来の地銀にはない、さまざまなニーズに対応するのがわれわれの大事な役割」と話す。関西では「貸出金も存在感も十分ではない」(吉岡頭取)が、香川銀行を含めたネットワークをどれだけ生かせるかが今後のカギを握る。