内閣府は17日、7月にまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に向け新型コロナウイルスの感染拡大が国際的な政治経済情勢に与える影響を分析する有識者懇談会の初会合を開いた。政府は今回の骨太でコロナ後の新しい経済・社会の姿を描く方針で、デジタル化の遅れや東京一極集中の是正など、日本が抱える「宿題」(西村康稔経済再生担当相)の解決につなげる。
西村氏はテレビ会議形式で開いた懇談会で「変化の激しい国際情勢の動きを的確に把握しながら、経済財政政策や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への対応の参考にしたい」と指摘した。懇談会には東大大学院の久保文明教授や大和総研の中曽宏理事長ら有識者7人が参加した。2週間程度で集中的に議論する。
コロナ禍では中国を中心にサプライチェーン(供給網)が乱れ、自動車などの工場が相次いで生産中止に追い込まれた。政府は中国からの生産移管を進めるとともに、TPPに参加するオーストラリアやニュージーランド、ベトナムと医療物資を融通する枠組み作りを進めるなど「信頼できる国同士」(西村氏)で供給網を再構築したい考えだ。
また在宅勤務の急速な普及で働き方改革が一気に進んだ半面、医療や教育などのデジタル化の遅れや、人口が密集した都市部で暮らす感染リスクも浮き彫りになっている。政府はコロナ後の行政改革を「この機会に一気に進める」(西村氏)としており、例年6月にまとめる骨太の策定時期も7月にずらしている。