NHKの上田良一会長は9日、今月24日の退任を前にした最後の定例会見に臨んだ。今春からの実施を目指すテレビ番組のインターネットへの常時同時配信に関連し、「その実現に向けて放送法改正にかけた3年間だった」と述べた。
平成29年に就任した上田会長は、インターネットも含めた「公共メディアへの進化」を経営課題に掲げてきた。その象徴的存在となる常時同時配信は、昨年5月の放送法改正で実施が可能となり、現在はネット業務の概要をまとめた実施基準案を総務相に認可申請している。
放送法改正の実現を「感慨無量だった」と振り返った上田会長は新サービスについて、「公共メディアへのパラダイムシフトに向けて小さな一歩かもしれないが、この一歩が大きな飛躍につながってほしいと思う」と期待を寄せた。
会見では、今夏の東京五輪・パラリンピックにも言及し、「世界中の人々が注目するこの機会に、最高水準の放送サービスを提供することで公共メディアの姿を示し、東京大会のレガシーとして、視聴者・国民の皆さんに親しまれ、必要とされるメディアであり続けたいと思う」と語った。