【五輪後の日本経済】反動減「心配ない」 みずほFG 坂井辰史社長 





取材に応じるみずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長(西村利也撮影)

 --東京五輪・パラリンピック後の国内景気の見通しは

 「景気全般については、五輪景気の反動落ちを心配する状況にはない。五輪に向けた国内の建設投資はかなり盛り上がっており、不動産業界は堅調だ。人手不足で受注も積み上がっており、今年も高い水準で推移するだろう。もう一つは訪日客が順調に増えていることだ。諸外国をみても五輪後の旅行客需要は急落はしておらず、落ち込みはないと思っている」

 --みずほFGは東京五輪・パラリンピックのゴールドパートナー企業を務める

 「スポンサー企業としてボランティアを出すなど大会支援のための体制を整備しており、競技場のチケットレス化に向けた実験や入場者の分析を通じてスポーツの振興や経済の活性化につながるような取り組みも進めている。経営計画のメガトレンドである少子高齢化、デジタル化、グローバル化の3つについて、この五輪を通じて大きく発展させる良いチャンスになる」

 --昨年を振り返ると

 「5カ年の経営計画の初年度ということでスタートダッシュを大事にした。環境が構造的に変わり、色々なチャレンジがあったが、顧客部門も市場部門も非常に順調に推移した。米国や欧州は金融緩和へと変わり、政治発による市場変動が顕著になっている。市場の急激な変動に対して予兆管理をしっかりして、備えていくつもりだ」

 --今年はどのような方針で取り組むか

 「経営計画ではROE(自己資本利益率)の向上を目標に掲げており、資本効率をより重視した運営にしていく。昨年7月に稼働した新システムをテコにした構造改革を本格化させ、店舗の次世代化や事務のバックレス化で作業を大幅に効率化していく」

 --業界では低金利下で収益が伸び悩む中、新たな手数料導入の動きもある

 「不稼働口座への手数料設定などはひとつの考え方だとは思うが、次世代金融にふさわしい手数料の体系を考えるべきだ。利便性の観点で、お客さまから納得感のある手数料をいただかないといけない。まずは銀行が自助努力として固定費の削減を進めていく」

 --副業を解禁するなど働き方改革を進めている

 「人生100年時代を考え、働き方が総合的に変わってきている。自己研鑽(けんさん)をする人にはみずほFG内外で幅広い働き方を提供し、やりがいを感じられるようにしたい。週数日は家業をやりたいなど相談件数はかなり増えており、こうした働き方を根付かせたい」(経済本部 西村利也)



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