郵政民営化委員会の岩田一政委員長は17日の記者会見で、かんぽ生命保険の不正販売問題について「日本郵政が長い歴史の中で築いた信頼を失わせるもので、民営化のプロセスに大きなマイナスとなった」と述べ、政府が計画する日本郵政株の売却のめどが立たなくなったことに懸念を示した。
会見の前に開いた民営化委員会には日本郵政の増田寛也社長ら日本郵政グループ3社の新社長が出席。それぞれかんぽ問題について陳謝し、早期の信頼回復を目指す考えを述べた。
岩田氏は「国民の信頼を取り戻すことなしに、郵政株の売却はできない」と指摘し、問題が収束するまでは、政府が郵政株の持ち分を現在の57%から郵政民営化法が定める下限の「3分の1超」まで売るのは難しいとの見解を示した。
郵政グループが問題の全容を解明して再発防止策やガバナンス改善などを徹底するには時間がかかる見通しだが、「抜本的に改革することができれば、新しいステップにつながる可能性を秘めている」と言及。行政処分を受け、1月末に金融庁と総務省に提出する業務改善計画には「どれくらい抜本的なメスが入るか、内容を注視していきたい」と語った。
また、郵政グループの3人の新社長に対しては「民営化の終了時にどういうビジネスモデルを展開しているのかを共有してもらいたい」と述べ、長期的な事業モデルについても検討することに期待を示した。