【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮労働党指導部で中核を担う党副委員長が昨年末の党中央委員会総会の人事で大幅交代していたことが19日、分かった。重鎮の死去に伴う国家葬儀委員会の名簿から判明した。外交を統括する金正恩(キム・ジョンウン)党委員長の側近が一線を退いたとみられるほか、外相も交代したと19日に報じられた。
非核化などをめぐる対米交渉が行き詰まる中、外交部門を中心に指導部の刷新が図られたもようだ。
金日成(イルソン)主席と抗日闘争に参加した女性で重鎮の黄順姫(ファン・スンヒ)氏が17日に100歳で死去したのに伴い、党や軍の主要幹部で構成する葬儀委が公表されたが、党副委員長12人のうち、朴光浩(パク・クァンホ)、李洙●(=土へんに庸)(リ・スヨン)、金平海(ピョンヘ)各氏ら5人が名簿から外れた。5人は総会最終日の正恩氏と新指導部の記念写真にも写っていなかった。大半が80歳前後と高齢で、世代交代が図られたと分析されている。
洙●(=土へんに庸)氏は、正恩氏のスイス留学時代に世話役を務めたといわれ、正恩政権の外交を統括してきた。駐ロシア大使だった金ヒョンジュン氏が後任に就いたとみられる。韓国の聯合ニュースなどは、外相が「米国通」として知られる外交官出身の李容浩(ヨンホ)氏から対韓国窓口機関、祖国平和統一委員会トップだった軍出身の李善権(ソングォン)氏に交代したと報じた。
経済官僚らの人事を担った平海氏のほか、軽工業や軍需を担当する副委員長も交代したとされ、国際社会の制裁で経済も好転しない中、人事の刷新は、党幹部の広範囲に及ぶもようだ。