医師資格がないにもかかわらず、注射などの医療行為や処方箋の発行などを行ったとして、警視庁生活環境課などは20日、医師法違反と医薬品医療機器法違反の容疑で、東京都港区麻布十番で薬局を併設した診療所を経営する薬剤師、増田光信容疑者(64)=横浜市瀬谷区下瀬谷=と、元事務員、佐藤恭子容疑者(40)=北海道江別市向ケ丘=を逮捕した。
同課によると、増田容疑者は診療所で医師を雇用していたが、医師が不在の間に患者への医療行為などを行っていた。
調べに対し、2人は容疑を一部否認。増田容疑者は「投薬判断や処方箋の発行をしたことは間違いないが、注射はしていない」と供述し、佐藤容疑者は「逮捕容疑の事実は間違いないが、身に覚えのない事実も含まれている」と説明している。
逮捕容疑は、共謀して昨年3月ごろ、診療所で20~30代の患者6人に美肌効果をうたうプラセンタ注射を打つなどの医療行為をしたほか、雇用している医師名義で処方箋を偽造して発行。うち3人に対し、アレルギー性鼻炎の治療に使われる医薬品「レボセチリジン」などの錠剤やカプセルを計87個(計約2400円)を薬局で販売したとしている。
同課によると、医療行為や薬剤の販売を受けた患者らに健康被害は確認されていないという。患者からの通報を受けた港区みなと保健所からの情報提供で発覚。同保健所は昨年3月以降、複数回にわたり立ち入り検査を実施していた。