トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる上院の弾劾裁判の本格審理が21日に始まった。焦点はどこにあるのか。Q&A形式でまとめた。(ワシントン 塩原永久)
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Q ウクライナ疑惑とは
A トランプ大統領が昨年7月、ウクライナへの軍事支援と引き換えにして、政敵である民主党のバイデン前副大統領周辺のスキャンダルを捜査するよう、同国に圧力をかけたとされる問題だ。トランプ氏がバイデン氏をおとしめ、11月の大統領選を有利に運ぼうとしたとみて民主党が問題視した。
Q 疑惑追及の経緯は
A 疑惑は昨年8月に内部告発で発覚し、民主党が多数派を占める下院のペロシ議長が、9月に弾劾調査開始を表明した。下院の委員会で公聴会を開き、関係者らの証言を集めた結果、下院は12月下旬、大統領に罷免に値する行為があったとして、裁判の「起訴状」に当たる弾劾訴追決議案を可決させた。
Q 弾劾訴追決議案の具体的な内容は
A 決議案は2条項で構成されている。トランプ氏が自身の利益のため、外交上の重要国であるウクライナへの軍事支援を凍結したのは「権力乱用」だと問われている。さらに、議会による弾劾調査への協力をホワイトハウスが拒んだとする「議会妨害」も、訴追理由に挙げられた。
Q 弾劾裁判の意義は
A 米大統領の弾劾裁判は史上3例目で1999年のクリントン氏以来。トランプ氏の信用に傷をつけるのは確かだ。ただ、共和党が優勢な上院で開かれる弾劾裁判で、大統領の有罪・罷免が決まる公算は小さい。裁判では、民主党が要求するボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)らの証人尋問が実現するかどうかが焦点だ。ボルトン氏はトランプに不利な証言をする可能性がある。