【カイロ=佐藤貴生】サウジアラビアの反体制記者、カショギ氏が2018年10月にトルコのサウジ総領事館で殺害された事件で、英紙ガーディアンは22日までに、事件の5カ月前にサウジ側が米紙ワシントン・ポストを所有する米通販大手アマゾン・コムのベゾス最高経営責任者(CEO)の携帯電話をハッキングしていた疑いがあると報じた。
カショギ氏は米国に事実上亡命して同紙にしばしば寄稿し、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の政策を批判していた。在米サウジ大使館は22日、政府の関与を否定し、調査を求めるとツイッターに投稿した。
ガーディアンによると18年5月、ムハンマド皇太子の個人アカウントからベゾス氏の携帯電話に通信アプリ、ワッツアップを通じてメッセージが入り、大量のデータが数時間のうちに引き出された。データ解析の専門家らは、マルウェア(不正なプログラム)が仕込まれていたとみているという。
記者殺害事件でサウジの検察当局は先月下旬、殺害に関与した5人に死刑判決が言い渡されたと発表。殺害を指示した疑いがあるとも報じられた皇太子は、事件とは無関係と判断されたとみられる。