政府の地震調査委員会が24日に公表した南海トラフ地震に伴う津波の確率は、過去の震源域に近い東海、近畿、四国を中心に非常に高い地域が広がる結果となった。確率が高い地域では、実効的な防災対策につなげることが求められる。
30年以内に南海トラフ地震が発生し、高さ3メートル以上の津波が襲う確率は静岡、三重、和歌山、高知各県など南海トラフに沿った地域で軒並み26%以上となった。数値は上限が示されていないため、あまり高くないようにも見えるが、100年に1回は津波に襲われることを示しており、自分や子供の世代が被災する非常に高い確率だ。
南海トラフでは大津波が繰り返し起きてきた。昭和19年の東南海地震では、震源域に面した三重県南部を高さ6メートル以上の津波が襲い、同県尾鷲市では9メートルに達した。津波の危険性は現在も変わっておらず、同市の一部は今回、5メートル以上の津波に襲われる確率が非常に高いとされた。
津波は海岸線が入り組んだリアス式海岸で特に高くなりやすい。三重県南部や高知県西部などで10メートル以上に達する確率が高いのは、このためだ。東日本大震災でも岩手、宮城両県のリアス式海岸で大きな被害が出た。