関西電力は29日、高浜原発3、4号機(福井県高浜町)がテロ対策施設の設置工事が期限に間に合わないため、8月と10月にそれぞれ停止すると発表した。テロ対策施設完成の遅れによる原発停止は九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)に続いて全国2例目。関電は代替措置として火力発電所の稼働を増やすが、燃料費の増加が経営への打撃となりそうだ。
原子力規制委員会は昨年4月、テロ対策の「特定重大事故等対処施設」の完成が設置期限に間に合わない原発に対して、運転停止命令を出す方針を決定。高浜3号機は今年8月、同4号機は10月にそれぞれ期限を迎える。関電は昨年末、期限に間に合わないとして、停止させる方針を取締役会に示していた。
昨年4月の時点では3、4号機ともテロ対策施設の完成が期限より1年程度遅れる見通しだったが、工事方法を見直して工期を短縮。停止期間を約8カ月短かくし、3号機は今年12月、4号機は来年2月の運転再開を予定する。できるだけ停止期間を短くし、電力需給や燃料費への影響を避けたい考えだ。
高浜3、4号機の停止中は、大飯原発3、4号機(福井県おおい町)のほか、火力発電所の稼働増や他電力会社からの電力融通でしのぐ。ただ、火力発電の燃料費増などで毎月90億円程度のコスト増となり、経営への影響は避けられない。
また、関電は、老朽原発の延長運転審査に合格している高浜原発1号機や美浜原発3号機(福井県美浜町)の今年7月以降の再稼働を計画しているが、幹部の金品受領問題で、地元自治体の同意が得られるか不透明な状況だ。
大飯3、4号機も令和4年8月にテロ対策施設の設置期限を迎えるが「完成時期は未定」という。今後も同様の停止リスクが続く。