歴史建造物にロケ誘致 「映像のまち」栃木・足利の企業に専門事業部





赤レンガ工場棟の外壁には戦時中、空爆を逃れるための迷彩が施され、撮影スポットとして人気を集める=足利市福居町のトチセン

 「映像のまち」を推進する栃木県足利市で、プラスチック製品加工販売「トチセン」(秋草俊二社長、同市福居町)は、自社が持つ赤レンガ造りの歴史的建造物を活用し、積極的に映画などのロケ誘致を進めている。社内にフィルム・コミッション事業部を設置し、使用料収入や企業PRをはじめ地域活性化にも貢献している。

 同社の前身は大正2(1913)年創業の「足利織物」。当時、建造された複数の大規模な赤レンガ工場棟があり、現在も工場などとして使用されている。外壁には戦時中、空爆から逃れるためにコールタールで黒く施した迷彩が当時のまま残る。赤レンガ工場棟は貴重な近代化産業遺産として、国登録有形文化財(建造物)に指定された。

 約10年前からテレビ局などからロケ使用の打診が相次ぎ、撮影が行われたことから、3年前、赤レンガ工場棟の有効活用を検討した際、ロケ地として積極的に貸し出すことを決めた。市や県などを通じて営業を始めたところ依頼が増えたため会社の定款を変更、昨年1月、社内にフィルム・コミッション事業部を新設した。

 これまでにテレビドラマ「今日から俺は!!」、「陸王」、「とと姉ちゃん」などを収録。人気女優・綾瀬はるかさん主演の映画「今夜、ロマンス劇場で」では約1カ月半も赤レンガ工場棟などでの撮影が続いた。今年も既に10件の引き合いがあり、映画、コマーシャルなど3件の撮影があった。コンサートなどの各種イベント、歴史文化関係の見学ツアーも増えている。

 同事業部事業本部長の青山孝志さん(67)は「倉庫として予想される賃貸収入以上の撮影使用料を売り上げている。企業PRとして本業にも貢献し、文化観光振興面で地域にも貢献できているのでは」と話している。(川岸等)



Source link