春節明けも収まらぬ新型肺炎 1~3月期、2期連続のマイナス成長も





中国・武漢の「火神山医院」=1日(新華社=共同)

 新型コロナウイルスによる肺炎の拡大は春節(旧正月)明けも収まらず、日本経済が1~3月期に消費税増税後の低迷から反転し、回復に向かうとのシナリオに黄信号がともった。中国からの訪日客数は重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した平成15年当時の20倍超に上っており、訪日外国人旅行客(インバウンド)需要の減少で景気の下押し圧力が強まっている。

 ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、1~3月期の国内総生産(GDP)成長率は「2期連続のマイナス成長になる可能性がある」と指摘する。消費税増税の駆け込み需要の反動や台風被害などの影響で、1年3カ月ぶりのマイナスが見込まれる令和元年10~12月期に続くものだ。

 平成15年に44万人だった中国人訪日客は、令和元年には959万人まで増加している。新型肺炎の影響で小売りや宿泊など訪日客に依存した産業の打撃は大きい。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、インバウンド減少がSARSと同じ割合で起きればGDPを0・14%押し下げると試算する。

 また影響が出る分野はインバウンドだけではない。中国では工場の操業再開の遅れや個人消費の低迷が懸念され、対中輸出の鈍化などが国内企業の業績も左右しそうだ。「実際の下押し効果はさらに大きくなるだろう」(市場関係者)とみられ、中国経済の失速が国内景気の足かせとなるリスクが米中貿易摩擦で揺れた昨年同様に強まっている。



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