両親に犯行ほのめかし差別的主張繰り返す 相模原殺傷公判 





植松聖被告(フェイスブックから)

 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で平成28年7月、入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた元職員、植松聖(さとし)被告(30)の裁判員裁判の第11回公判が6日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で開かれた。被害者参加制度に基づき、犠牲者や負傷者らの代理人弁護士が質問。被告は、犯行をほのめかす話を両親にした際「悲しむ人がたくさんいる」と止められたことなどを明かす一方、「障害者はいらない」という従来の差別的な主張を繰り返した。

 「被害者特定事項秘匿制度」に基づき犠牲者・負傷者の大半が匿名で審理される中、遺族の意向で名前を明かした美帆さん=当時(19)=の遺族の代理人弁護士から「刺したときの感触を覚えているか」と問われた植松被告は「必死だったので覚えていません」と抑揚のない声で答えた。

 代理人弁護士が、美帆さんの葬儀に大勢の人が参列したことを明かし「(美帆さんの存在を)喜んでいた人はいたのではないか」と問うと、植松被告は「喜んでいる人もいるかもしれないが、喜んではいけないと思う」と強弁。「美帆さんは人間でなかったのか」との問いには「そういう言葉を使うのは忍びないですが人間としての生活ではないと思う」と話した。

 別の弁護士から「両親から大切に育てられたと思うか」と聞かれると「いろいろと手をかけていただいた」と回答。「(障害者を)安楽死させるという話を両親に話したことはあるか」と聞かれると「したかもしれない」と答え、「悲しむ人がたくさんいる」などと両親から止められていたことを明かした。

 一方、死亡した男性入所者=当時(41)=の遺族の代理人弁護士から「両親など大切な人が重度障害者になったら、殺すのは問題ないと思うか」と聞かれると、「安楽死させても仕方がないと思う」など、相変わらずの差別的な持論を展開した。

 だが「(大切な人も)あなたが手を下すのですか」と切り込まれると「自分が殺す必要はないと思う」と歯切れが悪くなり、やや迷った後「家族の人には負担が大きいので、医者が(安楽死の)ボタンを押せばいいと思う」と話した。

 連日続く公判の疲労などからか、いらだちを隠さない場面もあった。拘置所に面会に来た人に対し「目立ちたいから事件を起こした」と話したかと問われると「そんなことは言っていません。その人の言っていることは嘘です」と、強い口調で言い返した。

 終盤にはしきりに額や首の汗をぬぐい、黒のスーツの上着を脱いでワイシャツ姿になるなど、落ち着かない様子もみられた。

 7日は、植松被告の精神鑑定を行った医師からの説明などが行われる。



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