楽天が通販サイト「楽天市場」で予定する送料無料の統一基準の導入をめぐり、10日に公正取引委員会から立ち入り検査を受けたことは、三木谷浩史会長兼社長が築いてきたビジネスモデルに走った亀裂の深刻さを示している。三木谷氏が送料無料化の実現にこだわる背景には、ライバルの米アマゾン・コムとの競争の激しさがある。しかし一方的な無料化決定に対する出店者の不満は大きい。楽天は携帯電話事業などでも課題を抱えており、対応を誤れば経営の不安につながりかねない。
楽天は10日、公取委の立ち入り検査について「厳粛かつ真摯(しんし)に受け止め、全面的に協力していく」とするコメントを発表した。ただ、「法令上の問題はないものと考えている」とも改めて主張。三木谷氏も1月末の出店者向けのイベントで「政府、公取委と対峙(たいじ)してでも実施する」と述べている。
楽天は昨年末、楽天市場での商品の送料を一律無料にする制度を今年3月18日に導入すると出店者側に通知した。現在、送料は出店者ごとに設定され、利用者からは「支払総額が分かりにくい」といった声があがっていたためだ。出店者の中には、商品価格を安く表示して検索されやすくする一方で、送料を割高に設定する事業者もいた。