9日(日本時間10日)行われた第92回アカデミー賞では、米動画配信大手、ネットフリックスが昨年に続いて存在感を示した。
ノミネートは、マーティン・スコセッシ監督の「アイリッシュマン」などで24部門に名を連ねた。ウォルト・ディズニーの23部門を上回り最多だ。このうち、助演女優賞(「マリッジ・ストーリー」)と、長編ドキュメンタリー賞(「アメリカン・ファクトリー」)を獲得した。
ネットフリックスなど動画配信会社が製作する映像作品は、劇場公開されないことなどから、スティーブン・スピルバーグ監督が「映画ではない」としてアカデミー賞の選考対象からはずすよう求めている。
日本では、「動画配信サービスは映画館の客足に影響を及ぼすものではない」(日本映画製作者連盟の岡田裕介会長)という。だが、「アイリッシュマン」は、映画会社がさじを投げた企画にネットフリックスが出資し、製作にこぎつけたものだ。日本でネットフリックスオリジナルの「全裸監督」を撮った武正晴監督も、「お金も時間もじっくりとかけさせてくれ、良いキャスト、良いスタッフをそろえてくれた。ネットフリックスでの仕事は、普段からは考えられない好条件だった」と述べている。
潤沢な資金力と自由裁量は製作者には魅力で、動画配信会社の“映画”は、今後もアカデミー賞の台風の目となりそうだ。