新型肺炎は日本経済最大の不確実性 黒田日銀総裁単独インタビュー





インタビューに答える日銀の黒田東彦総裁=13日、東京・日本橋本石町の日本銀行(酒巻俊介撮影)

 日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は17日までに産経新聞の単独インタビューに応じ、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの拡大が「国内経済にとって一番大きな不確実性」だと指摘した。17日発表された令和元年10~12月期の実質国内総生産(GDP)はマイナス成長になった。だが、足元では2年を通じた経済成長率が大きく下振れすることは想定せず、感染の勢いがどこまで持続するかが焦点になると分析。景気に影響が出る場合は追加的な金融緩和策をためらわない姿勢を示した。

 「問題はどこで峠を越えて、収束するかだ。(平成14~15年に流行した)重症急性呼吸器症候群(SARS)のときは半年ぐらいで“終結宣言”まで行った」

 黒田総裁はこう述べ、新型肺炎の拡大が早期に弱まることに期待感を示した。

 また、専門家の見方として、中国国内の生産活動が今年第1四半期(1~3月)で底を打ち、4月以降は挽回する可能性を指摘。世界や日本の今年の経済成長率が「昨年より非常に大きく落ちる可能性は少ない」との見方を示した。

 ただ、新型肺炎は中国本土の死者数がSARSの世界全体の死者数を超え、国内でも死者が出るなど拡大に歯止めがかからない。人の移動が制限され訪日外国人旅行客をあてにした観光産業が打撃を受けているほか、中国の生産活動が停滞し企業のサプライチェーン(供給網)も混乱しており、収束が遅れれば世界経済に甚大な打撃を与える。

 このため黒田総裁は、感染拡大がいつピークアウトするかが、今後懸念すべき最大の「不確実性」だと強調する。今後は海外当局との情報交換を続け、状況の変化を注視。新型肺炎の影響が「日本経済に大きく波及すれば金融政策を考えなければいけない」として、物価上昇の勢いが損なわれる恐れが高まれば「躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な措置を考える」と表明した。



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