世界の主要株式市場が大幅安の連鎖に見舞われた。新型コロナウイルス感染が世界経済に及ぼす混乱が、短期間で収束するとの楽観論が遠のいたためだ。国際通貨基金(IMF)は「景気がV字回復するシナリオを期待したいが、より困難なシナリオに備えるのが賢明だ」(ゲオルギエワ専務理事)と指摘。投資家も経済への悪影響が長期化する可能性を織り込み始めた。
世界経済の重しとなってきた米中貿易摩擦は、今月中旬、米中の「第1段階」貿易協定が発効し、景気の不透明要因が緩和したとの見方が強まっていた。
IMFも今年は世界経済の拡大ペースが持ち直すと見込んでいたが、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大が中国経済を直撃。感染地域が欧州にも飛び火する中、混乱が短期収束する楽観シナリオの修正に動いている。
米企業ではIT大手のアップルや靴大手のナイキなど、販売や生産面で中国と結びつきが深い企業の業績への疑念が浮上。堅調な収益を見込んで米株市場に流れ込んでいた資金が、ダウ工業株30種平均を未曽有の3万ドル台を伺う水準にまで押し上げていたが、先行き不安から安全資産への逃避を加速させ、24日、2万8000ドルを割り込んだ。(ワシントン 塩原永久)