【ワシントン=塩原永久】週明け24日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から急落し、前週末比1031・61ドル安の2万7960・80ドルで取引を終えた。欧州株式市場も大幅な下落に見舞われ、感染者が急増したイタリアの主要指数は5%超の下げを記録。投資家が一気にリスク回避の姿勢に傾き、世界同時株安の様相が強まっている。
中国以外に韓国、イランなどでも感染者の増加が伝わり、ダウは取引開始直後から売り一色となった。午前中に下げ幅が一時1000ドルを超えた後、いったんは持ち直したが、買いを支える材料がなく2万8000ドルの大台を割り込んだ。
ダウの下落率は3・6%に達した。銘柄別では、アップルやマイクロソフトのIT企業や、JPモルガン・チェースなど金融大手の下落率が大きかった。原油需要が先細りするとの観測から、石油大手の値下がりも目立った。
ハイテク株主体のナスダック総合指数は355・31ポイント安の9221・28。
AP通信によると、イタリアの主要株価指数FTSE・MIBが前週末比5・4%下落。ドイツ・フランクフルトのクセトラDAX指数が4・0%下げ、欧州から米国市場へと株式相場の下落が連鎖した。
一方、安全資産とされる金の取引価格は過去最高値圏で推移。米長期金利の指標となる米10年物国債の利回りが1・35%に下がり、2016年7月に記録した1・32%の最低水準に近づいている。
市場では、23日までサウジアラビア・リヤドで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、具体的な景気対策で協調姿勢を打ち出せなかったことも、投資家の失望につながったとの声がある。