【ワシントン=黒瀬悦成】11月の米大統領選でトランプ大統領の再選阻止を目指す民主党の候補者討論会が25日、南部サウスカロライナ州チャールストンで開かれた。同党候補指名争いの先頭走者としての立場を固めつつある急進左派のサンダース上院議員(78)に対し、他の6候補が集中砲火を浴びせた。
今回の討論会は、29日に実施される同州予備選と、14州などの予備選・党員集会が集中する3月3日の「スーパーチューズデー」を控える中で行われた。
サンダース氏攻撃の口火を切ったのはブルームバーグ前ニューヨーク市長(78)。ロシアが裏でサンダース氏を後押しする選挙干渉を行っているとする、米情報機関の報告に基づく最近の米報道を踏まえ、プーチン露大統領の狙いはサンダース氏を民主党候補に仕立ててトランプ氏を再選させることだと指摘した。
ブルームバーグ氏はその上で、サンダース氏が指名されればトランプ氏に負けるだけでなく「上下両院と州議会の一部も共和党の手に落ちる」と訴えた。
討論会ではまた、サンダース氏が23日にCBSテレビの番組に出演した際、キューバの故フィデル・カストロ元国家評議会議長について「全てが悪かったと決めつけるのは不当だ」と主張したことに他候補から攻撃が殺到。バイデン前副大統領(77)は「サンダース氏はキューバやニカラグアの権威主義体制に無批判だ」と切り捨てた。
政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめたサウスカロライナ州での各候補の平均支持率は、1位がバイデン氏30・3%で、2位のサンダース氏22・3%との差を最終盤で再び広げつつある。
バイデン氏としては、序盤の第2戦、東部ニューハンプシャー州予備選と第3戦のネバダ州党員集会で連勝し勢いに乗るサンダース氏をサウスカロライナ州で何とか抑え、再起を図りたい考えだ。
有力誌ナショナル・ジャーナルのジョシュア・クラウシャー編集主幹(政治担当)は25日の論考記事で「サンダースの勢いを止められるのはバイデン氏だけだ」と強調した。
ただ、サウスカロライナ州ではバイデン氏の支持基盤である黒人の票の行方が注目される中、ロイター通信が25日発表した全米世論調査では、黒人の26%がサンダース氏を支持し、バイデン氏の23%を上回ったことが判明するなど、情勢は予断を許さない。