ヘルシー食材でもある伝統食「こんにゃく」に新たな価値を持たせ、一層の普及を図ろうと奮闘する女性がいる。こんにゃくラボ代表取締役の岩崎真紗美さん(37)だ。活躍する女性起業家を表彰する「2019年度J300アワード」の大賞を受賞するなど高い評価を集める岩崎さんに、事業への熱い思いや今後の目標などを聞いた。(那須慎一)
--なぜ起業したか。また企業理念は
「日本の伝統食材であるこんにゃくの新たな価値を創造しようと、家業である岩崎蒟蒻(こんにゃく)店(焼津市・昭和2年創業)と倉島食品(森町・明治初期創業)がコラボし、昨年7月にこんにゃくラボを設立しました。時代の変化とともに『味がしみにくい』など調理に手間のかかる印象のこんにゃくは敬遠され、一世帯当たりの消費額は30年前と比較し半額に落ち込んでしまいました。そんな厳しい時代だからこそ、地元メーカー同士がパイを奪い合うのではなく、お互いの持つ技術や経営資源をシェアし、新規事業にチャレンジしようと新法人を立ち上げました」
--現在注力している事業内容や主なターゲットは
「独自開発のドライマンナン(乾燥こんにゃく)を使用した、肉を全く使用しない植物性のヘルシーハンバーグ開発に取り組んでいます。植物性タンパク質を主原料としたアメリカの『ビヨンドミート』や『インポッシブルミート』など、植物性加工肉が世界中で注目を集めており、ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義者)、宗教上肉が食べられない方など、オリンピックイヤーの今年以降、インバウンド向けに日本国内でも需要拡大が予想されます。大豆たんぱくに変わる新たな肉の代替品として、低カロリーかつ食物繊維豊富なこんにゃくの価値を発信していきたいと考えています」