新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化に歯止めをかけようと、主要国の中央銀行が動き始めた。米連邦準備制度理事会(FRB)は3日、臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、大幅利下げを決定。先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁が協調姿勢を打ち出した直後の電撃的措置だった。
FRBは主要政策金利を0・5%引き下げ、年1・0~1・25%とする。パウエル議長は記者会見で、新型肺炎が海外経済の混乱を招いており「米国の景気リスクが大きく変わった」と指摘。景気への悪影響は「持続し、増大するだろう」と述べた。追加利下げも排除しなかった。
FRBは今月17~18日にも定例のFOMCを予定するが、米国内でも感染者が増える中、異例の緊急会合を開いて早期の利下げを全会一致で決めた。臨時会合での利下げ決定はリーマン・ショックさなかの2008年10月以来。
だが、緊急利下げは、金融市場にかえって不安を広げる逆効果をもたらし、3日の米ダウ工業株30種平均は急反落して取引を終えた。G7の協調姿勢も具体策に欠け、期待外れと受け止められた。
代わりに安全資産とされる米国債が買い進まれ、長期金利の指標となる10年債の利回りは初めて1%を割った。外国為替市場では円が買われ、約5カ月ぶりの円高ドル安水準となる一時1ドル=106円台に上昇した。
4日の日経平均株価は取引開始直後、220円超下落して2万1000円を割り込む場面もあった。その後は急速に下げ幅を縮め、方向感の乏しい展開となった。終値は前日比17円33銭高の2万1100円06銭と小幅反発した。(米沢文、ワシントン=塩原永久)