5G商用サービス 海外でもスローペース 高価な端末ネック





ソフトバンクの新サービス「5G LAB」のひとつ、、「VR SQUARE」アプリ。VRゴーグルを使って音楽ライブやスポーツ観戦など特等席で参加しているような体験や、複数の視点を切り替えて視聴出来る=5日、東京・銀座のベルサール汐留(酒巻俊介撮影)

 ソフトバンクが日本での先陣を切る形となった第5世代(5G)移動通信システムの商用サービスのスマートフォン向けサービスは米国などでは2019年4月から始まっている。ただ、端末が高価であることや5G通信が可能なエリアが限られているといった課題も指摘され、普及はスローペースのもようだ。

 米通信大手のベライゾン・コミュニケーションズが手掛ける5Gサービスは現在、ニューヨークやロサンゼルスなど約35都市で使える。AT&Tなど主要な通信会社も参入しており、一部の通信大手は今年中に全米で利用可能にすることを目指している。

 ただ、5G対応スマートフォンの機種はまだ少なく、ベライゾンの場合、韓国サムスン電子製の高級機は千数百ドルと高額だ。また各社の5Gサービスの中には4Gの通信速度よりも少し速い程度のものもあり、5Gの真骨頂となる超高速・大容量通信のサービスが使える地域は限定的。ある米紙は米国での5G展開を「スローモーションで進む技術革命」と伝えている。

 昨年5月に5Gサービスが始まった英国では当初、15万人以上が使用するとの予測もあったが、実際にどれほど活用が広がっているかは不透明だ。都心部の地下鉄でも電波が入らないことが多い英国は通信環境の整備が遅れているとされ、英政府は5Gの普及を急ぎたい考え。しかし5Gの技術力はいまだ「発展途上」とみなされ、2022年以降、高速化や低遅延を向上させるといわれている。

 一方、5Gサービスを官民一体となって後押ししている中国では昨年11月、北京や上海など約50都市からサービスが始まった。中国工業情報化省によると、19年末時点で全国に設置された5Gの基地局は13万超。5G対応スマートフォンも多く発売されており、出荷台数は1377万台となった。今年も全国各地で基地局の設置を進めていき、サービス提供地域を拡大させる計画が伝えられている。

 肺炎を引き起こす新型コロナウイルスへの対応でも5Gの積極的な活用が模索され、中国メディアは、感染拡大が深刻な湖北省武漢市の病院と、北京市の病院を5Gネットワークを使って結んで遠隔診療が行われていると報じている。ただ、最近は新型肺炎によりスマートフォンの販売が落ち込むなどの影響が出ており、今後の5Gの展開が計画通りに進むか注目される。(ワシントン 塩原永久、ロンドン 板東和正、北京 三塚聖平)



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