【ワシントン=塩原永久】米労働省が6日発表した2月の雇用統計(速報、季節調整済み)は、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数が前月から27万3千人増えた。失業率は3・5%と前月から0・1ポイント改善した。肺炎を引き起こす新型コロナウイルス感染拡大にもかかわらず、米国での雇用の底堅さが裏付けられた。
就業者数は市場予想(ロイター通信調べ)の17万5千人増を上回り、景気拡大の節目となる20万人を超えた。数値改定により昨年12月の就業者数が18万4千人増に、1月が27万3千人増にそれぞれ上方修正された。
自動車を中心に製造業で雇用が増えた。非製造業でも金融やヘルスケアの就業者が増加した。
物価動向の先行きに影響を及ぼす可能性がある賃金上昇率は前年同月比3・0%だった。
新型コロナ感染者は3月に入り米国でも増加している。景気への影響を懸念して、米連邦準備制度理事会(FRB)は緊急の大幅利下げに踏み切った。FRBの調査では、すでに観光業や部品調達面で悪影響が出始めており、今月下旬に開く定例の金融政策会合でも追加利下げを検討する可能性が出ている。