一斉休校で広がるネット卒業式 支援のITサービス続々


 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う全国の小中高校の臨時休校措置で卒業式の開催が危ぶまれる中、インターネット上で卒業生を祝うサービスが注目されている。卒業式の動画配信などを求める教育関係者からの突然の問い合わせに、IT各社はサービス開発を急ピッチで進める。動画や画像などの思い出を共有して祝う動きが広がりそうだ。

 無料通信アプリ大手のLINE(ライン)は6日、学校が公式アカウントを立ち上げるサービスを無料で提供すると発表した。9日から令和3年3月末まで、全国の小中高校などを対象とする。学校と児童生徒を連絡しやすくするほか、LINEのさまざまな機能を活用しメッセージ動画や画像を共有するオンライン卒業式を支援する。

 LINEは近く、最大200人が同時に利用できるビデオ通話で、パソコンの画面を多数のスマートフォンで共有できる機能を提供する。学校などが卒業記念の動画をパソコンで再生すると、児童生徒らはスマホの画面で見られる。ウイルス拡大を受け、提供時期を数カ月前倒しする計画だ。

 テレビ会議システムを手掛ける米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは4月末まで、テレビ会議システム「ズーム」を教育関係者向けに無料で提供する。ズームは500人規模の同時参加も可能で、就職説明会のオンラインでの開催実績もある。楽天なども導入しているシステムだ。

 式典の進行に合わせて、卒業生の表情を映し出したり、動画を流したりといったサービスを検討している。担当者は「合唱などもできないかという問い合わせもきている。卒業式の日程が迫る中で、日本法人の営業担当5人が休日返上で対応している」と話す。

 SNS大手のミクシィは、家族で動画や画像を共有するアプリ「みてね」の有料機能の一部を3月末まで無料化。共有できる動画の長さを3分から10分間に増やした。卒業式への保護者の参加が制限されている地域もある中で、卒業式の様子を家族で共有してもらうためだ。

 NTTコミュニケーションズが提供する小中学校向けの教育サービス「まなびポケット」では、生徒同士が自由に書き込みをしながら画像共有できる機能を使い、寄せ書きを作る学校もある。ソフトバンクとベネッセホールディングスが共同出資するClassi(クラッシー、東京都新宿区)のサービスでは、教師が卒業生にメッセージ動画を贈って卒業を祝った高校があったという。(高木克聡)



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