大詰めの春闘交渉 新型コロナの影響など自動車労使が語る



グループインタビューに応じる自動車総連の高倉明会長=東京都港区(松井英幸撮影)
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 令和2年春闘の労使交渉が11日の集中回答日に向けて大詰めを迎えている。主要業種の自動車産業は、米中貿易摩擦の影響などで需要が世界的に低迷しているうえ、新型コロナウイルスの感染拡大で先行き不透明感が増している。主要メーカーなどの労働組合で組織する自動車総連の高倉明会長と、メーカー団体の日本自動車工業会の尾高和浩労務委員長(ホンダ執行役員)に現状認識などを聞いた。(今村義丈)

自動車総連の高倉明会長

 --新型コロナウイルスの感染拡大の影響は

 「新型コロナの問題は影響させてはいけないと考えている。賃金は中長期視点で毎年上がることで労働者の安心感、安定感につなげるもの。また一時金は、これまでの1年間の総決算という意味合いのものだ」

 --経営側の反応は

 「賃上げの必要性は理解しつつも総じて、慎重に検討せざるを得ないという物言いだ。だが、企業発展の最大の源泉は働く人々だ。賃上げは難局を乗り切る『人への投資』であり、ひいては自動車産業を、日本を元気にすることになる」

 --前年から、交渉の軸足を変えた成果は

 「ベアの統一要求水準を掲げると、議論が大手中小を問わず上げ幅に集中してしまう傾向があった。そこで賃金の絶対額重視に切り替え、(個別組合で)あるべき賃金水準の議論を進めた。その結果、中小で定期昇給がないなどの制度的問題に焦点があたり、労使で通年検討する動きも出た。格差を実際に縮めていく」

 --共闘軸が分かりにくくなったとの指摘もある

 「上げ幅だけだと氷山の一角だが、賃金水準の共闘という本丸に攻め込んだ。変わらなければ自動車産業がなくなるかもしれないとの危機感がある」

 --経団連が日本型雇用の見直しを強調している

 「自動車産業はすでに見直されてきた。終身雇用はなく、中途採用も増え、一律賃上げもほぼない。だが成果型では評価の透明性、納得性の担保が重要だ」

 --中小では体力から賃上げが難しい

 「赤字なら別かもしれないが、経営者としての判断の問題。人手不足のなか、難局を乗り切る投資をせずに労働者にどう頑張ってもらうというのか。努力したら報いてくれると信じられるから、頑張れる。総連として経営者団体に、付加価値をバリューチェーン全体に適正循環させるようにしてほしい、と訴えている」

 --次世代技術の進展で産業の枠を超えた車づくりが進みつつあるが対応は

 「ITで働き方、仕事も変わっていくなら、成果や付加価値の配分も適正にしないといけない。昭和期にロボットが導入された際は、自動化を理由に解雇しないなどの『ME協定』を締結した。場合によっては、そうした対応もする必要はあると考える」

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